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Another Green World ベランダ菜園のススメ

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テレワークを開始してから、ベランダで家庭菜園を始めました。野菜ジュースの懸賞でトマトの苗が当たったことがきっかけです。始めて見ると意外と難しい。突然シソの葉が一夜にして枯れたこともあり、菜園は謎だらけです。 失敗を重ねながら、現在はシソとパセリ・バジル・サニーレタスを栽培しています。ポイントは水やりで、菜園業界で「水やり三年」と言われているように、つい水をやりすぎてしまわないことにあります。 キャビノチェ SUSTEE 水やりチェッカーという、土にさすだけで水分の量がわかるセンサーを使っていました。水が十分あると青色に、足りなくなると白色に変化します。しかし情報番組で竹串をさし、しばらくしてから竹串を抜き触って土の湿り具合を知る方法を知り、今は追加分の鉢は竹串を使っています。 菜園の良いところは、その場で新鮮な野菜が食べることができることです。シソであれば摘み取り、刻んで朝食の納豆に入れて食べたり、バジル・パセリは夕食のサラダに香味野菜として入れて食べると、市販の野菜より野性味があって美味しい。それだけで食生活が豊かになります。導入コストも安く、苗、土、プランターを購入しても千円以下で開始できます。 最近アメリカではレストランの室内にて別ルームを整備し、完全人工光型植物工場にて多品種の野菜の生産を行いレストランで野菜を使用する、店産店消モデルが増えているそうです。「Food tech」「Agri tech」と呼ばれるITと既存事業の組み合わせた新しいビジネスモデルです。流通コストがかからず、食品ロスもない環境にやさしい野菜SDGsです。日本にも地元で採れたものを地元で消費する「地産地消」という言葉があるように、究極のSDGsがベランダ菜園です。 タイトルの「Another Green World」(邦題:緑世界)はBrian Enoの1975年の私の好きなアルバム・タイトルのオマージュです。Another Greenはオシロスコープや昔のコンピューターのCRTの緑をさしますがグリーンの裏側のジャケットがカッコイイです。現在は野菜とコンピュータは繋がっているのかもしれません。 新緑の季節、色々な苗が出始めますので、皆さんも家庭菜園始めたらいかがでしょうか?

AI・人工知能EXPOレポート  進化するAIの民主化

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現在、仕事で深層学習関連と情報システムの業務を行っている関係で、5月10日から5月12日まで東京ビッグサイトで開催されている「AI・人工知能EXPO」に行ってきました。この記事では業務内容に触れない形で展示会のレポートをしたいと思います。 コロナ明けとchatGPTの影響もあり、会場は非常に混雑していました。特にchatPodと呼ばれるサポート業務用の問い合わせシステムに、早くもchatGPTのWeb APIを使って連携するシステムが多数展示されていて、改めてビジネスは速いもの勝ちだと思いました。 ポスト中国も進み、ベトナム企業の進出も目立ってきて、グローバルな企業連携の形にも変化が現れてきています。また、生成AIを支える深層学習に欠かせないハードウェアのGPU(ニューラルネットワークに特化したCPUのようなもの)のNVIDIAや、深層学習に特化したGPUのEdreCortixの展示も目立っていました。 展示会のもう一つの目的は、画像生成AI「Stable Diffusion」で有名なStability AI Japan(株)のHead of JapanであるChi Jerry氏のキーノートスピーチ(講演)を聴くことです。最近は講演はオンラインで聴くことが多くなりましたが、その場の雰囲気が伝わるリアルな体験は、情報量の多さではかないません。 タイトルは「生成AIの未来」で、コカ・コーラ、auの次世代ブランドαU(アルファU)のCM、Netflixのアニメなどに実際に「Stable Diffusion」が使用されており、具体的なビジネスでの活用が既に始まっているとのことです。 生成AIを使うことで、仕事の効率が上がり、本来できなかったことができるようになり、誰でもクリエイターになれるとのことです。今後、必要なスキルはキュレーション(多くの生成される画像、音声を選択するセンス)とプロデュース(各ツールの組み合わせ、人との連携のコーディネイト力)だとされています。 講演の中で、Chi Jerry氏からの「AIは大企業による寡占化が進むのか、AIの民主化が進むのか」という質問に多くの人が民主化に進むと挙手をしていたのが印象的でした。やはり、一線で生成AIと関わっている人の講演は面白いです。 最後に展示会のもう一つの目的は、ノベルティグッツの収集です。海外の展示会ではロゴ入り

シュルレアリズムと画像生成AI

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 皆さんはシュルレアリズム(仏: surréalisme、英: surrealism)という芸術運動をご存知でしょうか?「シュール」って、不思議とか非日常的とかいう意味の日本独自のカタカナ用語がありますがその語源になった言葉です。  シュルレアリズムは、夢や無意識を表現する芸術運動です。20世紀初頭にフランスで生まれ、非現実的な作品を創造し、社会改革を目指す思想を持ちました。有名な芸術家はマックス・エルンストやマン・レイ、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエル、ルネ・マグリット等の錚々たるメンバーによるムーブメントでした。 シュルレアリズムと言えばロートレアモン(Lautréamont)の詩にイギリス人の美少年を讃えた「解剖台のミシンと傘の偶然の出会いのように美しい」という文章が有名です。 Beau comme la rencontre fortuite sur une table de dissection d'une machine à coudre et d'un parapluie.(原文) シュルレアリズムは解剖台、ミシン、傘のような無関係のモノの偶然の出会いが「思いがけない美」を生むという運動でもありました。 一方で21世紀の現在、画像生成AIと呼ばれるソフトウェアが誕生しています。画像生成AIはコンピューターが条件やデータから新しい画像を作り出す深層学習を応用した技術です。 プロンプトと呼ばれる言葉から、イメージを生成するもので「Stable Diffusion」「Midjourney」「Bing Image Creator」「Adobe Firefly」「CanvaAI」等が有名です。 今回、実験的にシュルレアリズムの解剖台、ミシン、傘、を画像生成AIで再現してみます。 実際には英語の「Dissecting table, sewing machine, bat umbrella」のプロンプトで画像生成をしてみました。 最初の生成画像は「Bing Image Creator」、2番目は「CanvaAI」で生成しました。 画像生成AIは、著作権やデザイナーの賃金格差等の色々な課題を含んでいますが、一方でクリエイティビティの新しい可能性もあります。 画像生成AIは「思いがけない美」を生む、21世紀の新しいシュルレアリズム運動になるかもしれま

2025年大阪万博(Expo 2025) 万博ロゴに物申す

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 前回のテーマ大阪万博についての続編です。関東ではほとんど盛り上がっていませんが、2025年に大阪万博(Expo 2025) が、夢洲(大阪市此花区)で開催されます。テーマは 「いのち輝く未来社会のデザイン」です。 前回の Expo70の記事で改めて、当時のロゴの素晴らしさを再発見したので、今回の万博のロゴについて述べたいと思います。ネットで検索したら大阪万博(Expo 2025) のロゴは、一定の条件を満たせば公式に使用ができることがわかりました。さっそく申請をしてダウンロードしました。 公式のこれが公式の応援メッセージ付きのロゴです。アートディレクターのシマダタモツ氏(55)ら「TEAM INARI」の6人の作品です。Expo 70を意識して作られた進化系のロゴとのこてです。 私の感覚の問題かもしれませんが、盗作問題で差し替えとなった東京オリンピックのロゴにしても、今回の万博のロゴにしても明らかにデザイン力が劣化している気がします。 これがExpo 70のロゴです。 作者は日本のグラフィックデザイナー大高 猛です。残念ながら2000年に死去されました。享年73歳でした。 当時のロゴは鮮明に覚えています。日本の桜の花びらをモチーフとした5大陸の調和を謳ったデザインは、シンプルで美しく、コンセプトも直感的に理解できる大変に優れたロゴです。 前回の東京オリンピック、万博のデザインチームはドリームチームでした。丹下健三デザインの国立代々木競技場は建築歴史で傑作と言われていますし、今見ても斬新で美しい。 一方、現在の大阪万博(Expo 2025) ではロゴを始め、マスコットキャラクターのミャクミャクもかなり怪しいキャラです。 日本のデザイン力の劣化を危惧していますが、皆さんはどう感じるでしぃうか?

アポロと万博とラジオ Back to 1969-70

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 今回は今の私の職業と趣味の原点となった1967から1970年(小6から中1)の話です。 1969年、アメリカはアポロ11号で人類初の月面着陸に成功します。この偉業は全世界にテレビ中継され、当時小学6年だった私はテレビの前でずっと観ていました。月面のアポロ月着陸船「イーグル」もカッコ良かったですが、子供心を鷲掴みにしたのが宇宙船への司令を行うNASの「ミッション管制センター」の圧倒的なカッコ良さでした。巨大な部屋にコンピューターと通信機器がズラッと並び、宇宙船と英語で通信してました。小学校卒業文集に書いた将来の夢は「NASAに就職する。」でした。これがまだメインフレームと呼ばれる時代のコンピューターとの出会いでした。 そして、1970年、大阪で テーマ「人類の進歩と調和」の 万国博覧会(通称:大阪万博 Expo '70)が開催されます。大阪万博はみうらじゅんを始め、多くの同世代の子供を熱狂させた夢のようなイベントでした。アメリカ館の「月の石」の展示を始めとし、科学技術の未来を謳う数多くのパビリオン(万博の建物のこと)がありました。大阪万博のプロデューサーで建築家でもあった丹下健三は、多くの気鋭の建築家や芸術家を万博に起用しました。横尾忠則の繊維館も凄い思いましたが、一番インパクトが強かったのが岡本太郎の「太陽の塔」でした。当時の中学生の私からは、岡本太郎は胡散臭い前衛芸術家としか見えませんでしたが、この「太陽の塔」にはなぜか心惹かれました。これがアートとの出会いでした。 大阪は長野県からとても遠い場所でしたが、どうしても大阪万博に行きたくて両親にお願いしました。その頃もう一つ欲しいモノがトランジスタ・ラジオでした。結局、大阪万博かトランジスタ・ラジオどちらかにしなさいと究極の選択を迫られて、選択したのがラジオでした。ソニーの「スカイセンサー」は高額だったので、横にゼンマイで動くスリープタイマーがついたナショナル(現:パナソニック)の「ワールドボーイ」を買ってもらいました。音楽は家族と一緒にテレビの歌謡曲しか聴いていませんでしたが、ラジオで一人で音楽を聴きことが出来るようになりました。これが洋楽と出会いでした。 以降、私は大学で「コンピューター」を学ぶために計算機学科に入学し、ソフトウェアを職業とし、現在に至ります。アートと音楽は趣味として、今でも私の人生を豊

DUNE砂の惑星 Part2 映像公開 最高難易度SF映画失敗の歴史

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 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF映画 「DUNE砂の惑星 Part2」の予告映像が解禁となりました。公開は2023年中とのことです。「DUNE砂の惑星 Part1」(2021年)は素晴らしい映画だったので、ファンにとっては公開が楽しみです。 「DUNE砂の惑星 」はフランク・ハーバート作のSF小説であり、壮大なスケールの小説は映像化が困難とされ最高難易度SF映画と呼ばれています。 最初に挑戦したのは、アレハンドロ・ホドロフスキー監督でした。予定されていたキャスティングはサルバドール・ダリ - 銀河帝国の皇帝役、ミック・ジャガー - ファイド・ラウサ役、H・R・ギーガー - 建造物デザイン、そして音楽ーPink Floydです。キャスティングを聞いただけでも、うまく行きそうにありませんが、やはり頓挫します。 その経緯は、ドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE』(2013年)で本人から詳しく語られています。本作はAmazonPrimeで観ることができます。 次に挑戦したのが、デヴィッド・リンチ監督であり、1984年に無事公開されました。ミュージシャンのSting出演し、音楽はTOTO,BrianEnoが担当したことで話題となり、私も映画を見に行きました。個人的には、世界観を含め非常に良い映画だと思いましたが、興行的には大失敗しました。上映時間2時間では物語の全てを語ることは元々無理があったためと言われています。 その後、2000年にテレビドラマ「デューン/砂の惑星」、「デューン/砂漠の救世主」と「デューン/砂丘の子供たち」が全6話で映像化されます。レンタルビデオで観ましたが、作りが貧相であまり良いとは思いませんでした。 再度映画化に挑んだのが、『メッセージ』(2016年)や『ブレードランナー2049』(2017年)で、評価された気鋭のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督です。私もこの2本の映画は観ましたが非常に良い作品でした。 「DUNE砂の惑星 Part1」(2021年)は興行的にも大成功しました。要因は、監督の才能以外に撮影技術の進化と、過去の作品に対するリスペクトと失敗から学んだ戦略です。小説の長さを考慮し、最初から2部構成で企画されました。 ゴジラ映画のファンの庵野秀明の作成した映画「シン・コジラ」とおなじように、前作品をリスペクトしつつ失敗を学び、最新の技術で最良

日本縮小#3 提言編 国立大学復活と大学の学費を半期¥48,000円にする。

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シリーズ日本縮小 3回目からイノベーションを起こすための具体的な提言をしていきたいと思います。この記事ではイノベーションとはIT技術を活用した新規事業や既存事業の革新の事を言います。 最初の提言は教育についてです。 私が国立山梨大学に入学した1976年の大学の学費は前期¥ 48,000円、後期¥48,000円でした。年に2回の支払いで、親から振り込んでもらった学費を使い込んで、後でアルバイトで補充する友人もいたくらいリーズナブルな金額でした。また当時、学生運動がまだ盛んで、キャンパス内の立て看(意見を書いたベニア板の看板)に ”学費値上げ断固反対、学費を半期¥18,000円に戻せ!” と書いてあった。調べたら去年まで学費は半期¥18,000円でした。 このグラフは、文科省のHPから調べた1975年から2004年までの国立大学の学費の遷移を示します。他の物価の比較のためレコードを月2枚購入した時の年間費用を併記しました。ただしレコードの価格は途中からCDの価格になっています。 1975年の学費は36,000円から520,800円と14倍に高騰しています。一方レコード・CD購入費用は55,200円から71,800円と1.3倍に留まっています。通常の物価上昇率に比較し、学費が高騰した理由は政府が大学の学費(学問・研究)に対する予算を減らしたからです。今の大学生は奨学金という名の借金を背負って社会人にならざるえない現状があります。 更に2004年から大学改革の一環として、国立大学は大学法人に移行して、教員・職員はみなし公務員となりました。その結果、2016年時点で20年前と比較して40歳未満の教員は5000人以上減少しました。主導したのは構造改革の旗振り役、「失われた30年」の主犯の一人竹中平蔵氏です。 学問・研究の国の予算の減額がイノベーションの起きない原因の一つだと思われます。chatGPTが示した大学の学費とイノベーションの相関関係に関する研究論文を注釈に記載しておきます。 提言は直ちに、国立大学を法人から国の機関に復活させて大学の学費を半期¥4,8000円に戻すことです。 グラフは文部科学省「学校基本調査」を元にした学生数の推移です。現在の国立大学生の数は86万人です。現在の学費は文部科学省令で標準額は年間535,800円ですから学費の総額は約4,600億円となりま

村上春樹ライブラリー 作家の本棚(頭の中)を見る

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他人の家の本棚って気になりませんか? その人がどんな本を読んでいたかで、趣味とか考え方がわかります。まして好きな作家の本棚って気になります。 私はハルキストではありませんが「風の歌を聴け」からリアルタイムに読んでいる初期(ノルウェイの森ぐらいまで)の村上春樹ファンです。以前から、一度行ってみたかった早稲田大学にある「村上春樹ライブラリー」に行ってきました。 ネットで早稲田大学国際文学館(通称:村上春樹ライブラリー)のサイトをアクセスし、行きたい日にちと時間帯を予約すると、確認メールが来ます。実際に行った時に受付でメールの予約番号を告げれば、入場できます。 滞在時間は1.5時間程度が想定されています。人数制限されているのでゆっくりと滞在できます。しかも料金は無料です。 早稲田大学は初めて来ましたが、一般の人でも入館できます。やはり大学のキャンパスは自由で、ゆったりした感じが良いですね。早稲田大学国際文学館は既存の建物をリノベーションしてますが、設計は隈研吾です。 中に入ると木材をふんだんに使用した図書館が現れます。さすが隈研吾です。 この図書館は村上春樹作品を―日本語・日本語以外のものをあわせて所蔵しています。刊行書でも初版本など貴重なものに加えて、村上氏からの寄託・寄贈を受けた本、さらに村上氏が蒐集したレコード・CDを中心に収集しています。村上春樹の書斎の別館のような場所です。 受付を入るとすぐに、テーブルと椅子がある、高級オーディオからJAZZが流れているリスニングルームがあります。 ビリー・ホリデーからビル・エバンストリオなどのレコードジャケットが飾られていて、村上春樹の小説の中に入っているような居心地の良い(Cozyな)空間が広がっていて心和みます。 カフェ「杓子猫」が併設されているので、コーヒーを飲みながら、彼から寄贈された気になる本が読めます。ショップもあり、グッツも購入できます。彼は、早稲田大学在学中に夫婦でJAZZ喫茶を開業していました。ここはそのJAZZ喫茶の再現かもしれません。 音楽関連の本は、Bob Dylan、Beatlesと並びますが「乃木坂48」関連の本が気になります。 マラソン好きな彼の「走り」に関する本棚です。気になったのはイギリスの「怒れる作家」ことアラン・シリトーの「長距離走者の孤独」です。私も好きな本でした。この本はイギリスのポッ

アンリ・マティス大回顧展 フォーヴィスムからポップアートへ

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マティスは鮮やかな色彩に惹かれる好きな画家の一人です。先日、東京都美術館で開催されているマティス展(Henri Matisse: The Path to Color)に行ってきました。展示期間は2023年4月27日(木)から8月20日(日)までで、一般の観覧料(税込)は2,200円ですが、私は65歳以上のため1,500円で入場することができました。 チケットはWebサイトから時間帯ごとに事前予約する必要があります。そのため、長時間並ぶ必要もなく、混雑も避けられて快適に鑑賞することができます。 150点の作品が展示されており、キュレーター(美術展の展示に関するディレクター)はポンピドゥー・センター/国立近代美術館近代コレクション チーフ・キュレーターのオレリー・ヴェルディエさんです。作品は年代順に整理され、彫刻も並行して展示されています。 「1.フォービズムに向かって」、「2.ラディカルな追求の時代」の初期から、有名な作品を生み出した中期「3.並行する探究」から「6.ニースからブァンスへ」を経て、晩年の「7.切り絵と最晩年の作品」、「8.ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」まで、マティスの生涯の軌跡を示す、圧倒的な数の作品が展示されています。 おすすめの鑑賞方法は、入口で配布される作品リストをもらった後、係員に鉛筆を借りて自分が気に入った絵画の番号にチェックを入れることです。同伴者がいる場合は後でお互いの好みを比較できますし、気に入った作品は後でネットで調べることができます。 展示の中で、今回初公開の「フォーヴィスム」前のマティス初期の傑作「豪奢、静寂、逸楽」があります。この作品は、印象派や新印象派の点描画の影響を受けています。マティスはこの作品から決別し、次のステップに進んでいきました。 晩年の1948-51年は、「ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」の壁画、ステンドグラス等の総合的なの美術作成に取り組みます。シンプルでどこかユーモラスな壁画は、既にポップアートへと昇華しています。壁画から連想されるのは、1980年代に活躍したストリートアートのキース・ヘリングです。彼はアメリカ人ですが、マティスからの影響を受けたかもしれません。 教会の壁画 キースヘリング 写真撮影が許されている絵画の中で、私の気に入った絵画を、番号及び名称と共に掲載します。 81.赤の大きな室内 80.黄色と青の室内

ジングルの話 「Rock TikiTiki」映像作成のベストプラクティス

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「ジングル」という言葉をご存知でしょうか? ジングルとはサウンドロゴとも呼ばれる、製品、ブランド、MV(Music Video)を印象づけるための短い音楽を言います。 私の趣味の一つは動画作成です。パナ時代の後輩のRock Band「Rock Tiki Tiki」の一部のMVを担当しています。今回の記事ではジングル作成の過程と、他のジングルの紹介をします。 2本のYouTubeは、「Rock Tiki Tiki」のMVの冒頭で流れるジングルのみの映像です。作成ではSlack(共同作業用チャット)とGoogleDriveを使って、すべてリモートで共同作業します。テレワークと同様ですね。最初に後輩のPL(プロジェクト・リーダー)より、Slackからジングル作成の依頼が来ます。この時にコンセプトが説明されます。次に音楽担当からGoogleDrive共有でサウンドのmp3ファイルがアップされます。 ここからが私の作業になります。音のない動画はMacの「Keynote」と呼ばれるプレゼンアプリで作成します。送られたサウンドの時間、サビに合わせて「Rock Tiki Tiki」のロゴのアクション・時間・エフェクトを決め動画mp4にエクスポートします。フォントやアクションの異なる3,4種類の動画を作成します。 次にFilmoraと呼ばれるWindows版の動画編集ソフトを使い音楽と動画を合成します。Filmoraは低価格で高機能の動画編集ソフトです、興味のある方は使ってみてください。 複数のジングルを作成し、GoogleDriveにアップして、Slackのチャットで議論し1つに絞り込みます。PLより修正点の指示が来て、修正、指示を繰り返し最終版を作成します。趣味とは言え業務と同じ流れです。これで完成です。 個人的に「ジングル」最高傑作はYMOの「増殖 - X∞ Multiplies」オープニングの「ジングル“Y.M.O.”」だと思います。声はDJ小林克也さんです。次の曲NICE AGEへのつながりは本当にカッコイイ。 そして、最も有名なジングルはMicrosoft Windows95の起動時の「ジングル」です。作者はアンビエント音楽、U2、Coldplayのプロデューサーとして有名なBrianEnoです。 当時のCEOビルゲイツからの依頼は「人を鼓舞し、世界中の人に愛され、明るく

街の焙煎コーヒー店とワイン店 「ネットを捨てよ、街へ出よう」

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 新緑の季節となり、天気の良い日に自転車で横浜の山下公園から中華街、関内を散策するのも気持ちが良いものです。横浜のみなとのエリアは歩くには意外と距離があるので、自転車でサクッと回るのがお勧めです。 今回は2つの個性的な小さな店を紹介します。いづれのお店も若い人が店主で、自分たちが扱っている商品について詳しく説明してくれるので、買い物も楽しいです。ネットショッピングも良いけどリアル店舗には色々な発見があります。 焙煎コーヒー店「Tsukikoya Specialty Coffee Roaster's shop」 ここは猥雑な中華街の外れにある、きれいなお店です。個性的なコーヒー豆を扱っていて、小さなカップで試飲ができるので、試してから豆を購入することもできます。また、ハンドドリップしてくれるので、テイクアウトして山下公園でコーヒーを飲むこともできます。 【店舗情報】 住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町106 シルクロード通り1F 朱雀門近く HP:http://tsukikoya.com/shop2/ 世界のワイン 葡萄屋 関内店 ここは関内の大通り公園側にある、世界中のワインを扱っているお店です。お店の人が気さくで、ワインのことを色々と教えてくれるので楽しいです。最近はウクライナのワインが人気があるとのことです。また、「コスパ棚」と呼ばれる千円台ワインのコーナもあります。私のお勧めは「キュヴェ・セクレテ シラー赤ワイン フランス Cuvee Secrete Syrah オーガニック」。 雑誌にも紹介された美味しい千円台ワインです。入荷はGW明けになるとのことなので、また来ます。 【店舗情報】 住所:〒231-0031 神奈川県横浜市中区万代町1丁目2-8 HP:https://www.wine-budouya.com/kannai/ 最近はネットで商品を購入することが多いですが、コーヒーやワインは種類が多いので、実際に商品を手に取り、お店の人と話しながら良いものを安く手に入れるのも買い物の楽しみです。街には新たな発見があります。 「ネットを捨てよ、街へ出よう」は寺山修司の書籍「書を捨てよ、街へ出よう」のオマージュです。

「遍在の日々」ブログタイトル変更します。 ブログの裏側

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ブログ を始めて20日になりますが、おかげさまで記事のページビューが1000を超えました。読者の皆様、ありがとうございます。 元々は以前のブログの読者に読んで頂きたいと思い、ブログを再開しました。友人、知人等にブログのURLを送って読んで下さいと連絡していましたが、少し欲が出てきました。そこで、不特定の人が検索エンジンからブログに流入を上げるためのSEO(Search Engine Optimization、読み方:エスイーオー)と呼ばれる施策の実験をしてみようと思います。これがブログの裏側です。 最初に、Web解析の定番であるGoogleが提供する解析ツール「Google Analytics 4」をブログに導入します。ブログは「Google Blogger」を使用しているため、Google同士のため簡単に接続できます。仕組みは、ブログがアクセスされる毎に「トラッキングコード」と呼ばれるプログラムが呼び出され、Googleの解析サーバーに必要な情報が送られます。この情報によりGoogleは多数のWebのアクセス状況を把握することができます。そのご褒美として、Googleは自分のWebの情報をレポートしてくれます。 次に、どのような検索キーワードからブログにたどり着くかを計測するツール「Google Search Console」を設定します。設定はサイトマップと呼ばれるデータをGoogleのサーバーに送信します。このようにGoogleはWebのあらゆるデータを収集し、収入源である広告費用の効果を向上させています。 解析してみると、オーガニックサーチと呼ばれる検索からの流入が無いことがわかりました。試しに私のブログタイトルの「つづれおりの日々」をGoogle検索すると、「日々つづれ織り」「つづれ織と暮らす日々」「つづれおり」「つづれ織り」「日々のつづれ織り」という多数のブログタイトルが表示されました。これではブログのタイトルからの検索流入は無理ですね。最初から調べれば良かった。 そこで、ブログタイトルを変えることにしました。chatGPTはあえて使用せずに自分の頭で考えた結果、TRON構想で有名な坂村建教授の提唱した「ユビキタスコンピューティング」(元祖IoT)の中に登場する「遍在」(何処にでもある)、という言葉を使用することにしました。新タイトルは「遍在の日々」、何

日本縮小#2 なぜ日本でイノベーションが起きないか? 農耕VS狩猟

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日本縮小#2。今回は、日米のIT関連分野に絞って、私の考えを述べてみたいと思います。 【原因1:気質】 日本は、島国で農耕民族であり、古代から天皇を中心とした歴史ある国です。昔からあまり危険を犯してまで冒険する必要もなく、安全・安心な暮らしを好みます。また、農耕民族の場合、集団で作業を行うため「和」を重んじます。いわゆる空気を読むことです。 一方、米国は欧米からの狩猟民族が移民してできた新しい国です。米国のITの中心地シリコンバレーのあるカリフォルニアは、約200年前からゴールドラッシュと呼ばれる金を求めるために一攫千金を狙う山師が世界中から集まった地域でもあります。「和」よりも個人主義が強く、空気を読まないことが多いです。 日本は、良くも悪くも成熟した人々の静かな国であり、一方の米国は山師たちが一攫千金を狙う活気ある国です。イノベーションはゴールドラッシュから生まれたのかもしれません。 この図は、2004年からGoogleで検索されたキーワードを可視化するサービスを使って、「技術革新」と「イノベーション」のキーワードを可視化したグラフです。このグラフには、それぞれのピークの要因と考えられるイベントを示します。 A.2006/9:イノベーション25戦略会議(内閣府) B.2013/1:イノベーションの創出(経団連)C.2021/6:総合イノベーション戦略(内閣府)D.2022/6:総合イノベーション戦略(内閣府) イノベーションに関心が向いたのは安倍内閣の頃からです。 一方、GAFAMのイノベーションの歴史を年代的に並べます。 2004年にFacebookが誕生し、2005年にはYouTubeが開始され、2006年にはAWS(クラウドコンピュータ)がスタートし、Twitterも同じ年に始まりました。さらに、2007年にはiPhoneが販売され、2009年にはWindows 7がリリースされました。 【原因2:米国の戦略】 日本がイノベーションを起こせなかった2つめ理由は、バブル時代まで遡ります。1980年代、日本の経済は急成長していましたが、米国は日本に追い抜かれることを恐れ、半導体業界を攻撃し始めました。1986年9月には「日米半導体協定」が締結され、その後、韓国や台湾が半導体技術の開発に乗り出し、そしてサムスンやTSMCといった企業が発展することになりました。 

追悼 恩師・田中正次先生 Back to Kyoto in 1980

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2022年8月16日、私の大学・大学院の恩師である田中正次先生がお亡くなりになりました。享年93歳でした。昨年、訃報を知らされましたが、今改めてご冥福をお祈りしたいと思います。 訃報の連絡をきっかけに、コロナ禍で再会が途絶えていた田中先生の研究室(通称:田中研)の同期の友人と交流が復活しました。そんな彼と横浜の野毛で昼飲みし、久しぶりの再会にお互いの近況や家族、chatGPT関連のAIの話題で盛り上がりました。ひとしきりして、彼がある論文と田中先生の追悼文が掲載された工業会の記事のコピーを手渡してくれました。 手渡された手書きの論文のコピーは1980年11月13-15日に京都大学数理解析研究所で開催された第10回「数値計算のアルゴリズムの研究」で田中先生が発表された「5次陽的Runge-Kutta法の特性の比較と最適化」でした。京都に行ったことは覚えていたけど、論文のことはすっかり忘れていたので、非常に嬉しかったです。 Runge-Kutta法とは、常微分方程式の数値解析法として有名な解法で、現在でも工業分野で広く使われています。田中先生はMr.Runge-Kuttaと呼ばれるほどの世界的にも有名な教授でした。当時、私が行っていたRunge-Kutta法のFORTRANプログラムで、ある程度の結果が出たため、学会で発表したと思います。 学会には、田中研のメンバーで車で京都に行きました。学会で発表後、田中先生が手配してくれた旅館で、田中先生、山下先生と学生で宴会をしました。学会は緊張したけど、本当に楽しい思い出です。  田中先生は、男性のみの田中研を気の毒に思ったのか、英和短大(女子の花園)との合ハイを自ら企画して頂いたこともありました。合ハイとは、合同ハイキングの略で、若い男性と女性がハイキング(これも死語)を通して、お互いに交流を深める楽しいイベントの事です。 先生のお陰で本当に知的で、楽しい大学生活を過ごすことができました。この頃の体験が「心の栄養」として、私の財産になっています。又同時代を共に過ごした友人も、私の財産です。Thank you Priceless。 論文は京都大学数理解析研究所のサーバーに今でもアーカイブされています。43年前の私と、田中先生の足跡(Foot Print)はこれからも残ります。 改めて、田中先生と、この論文を紹介してくれた友人にに

日本縮小#1 なぜ日本人の給料は上がらないのか? 「All You Need Is Innovation」

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先日、ビザスク主催の「AIの進展とイノベーション(Innovation Day 2022 基調講演)」をオンライン視聴しました。講師は、日本のAIの第一人者である東京大学の松尾豊教授でした。 なぜ日本人の給料がアメリカ等の先進国に比べて上がらないのか?その要因の一つはイノベーション(Innovation)にあると言われています。イノベーションは新しい創造・発明で、新たな市場や新たな経済を生み出す現在の錬金術です。 この図は、経済産業省がWebに掲載している「スタートアップ」についての資料です。日本の株価とアメリカの株価はTOPIXとS&P500で変わりはありません。GAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)の株価が、アメリカの経済を大きく牽引していることがわかります。私たちは普段iPhoneでGoogle検索して、Amazonで買い物し、仕事でWindowsを使っています。使用しているのはアメリカの製品やサービスであり、お金はアメリカに吸い上げられて行きます。 図は企業の収益を示す公式です。y(t)が企業の利益を示します。利益が増える要因は2つあります。1つは頑張って利率(r)つまり儲けを増やす方法。2つ目は、高速に物事を進めることで(t)を増やすこと。特にtは指数なので効果は大きいです。つまり、経営の速度を上げることが成長の鍵となります。 1つは「スタートアップ企業」、日本でも、アメリカでも、事業速度を上げることは大企業より「スタートアップ企業」の方は有利です。2つめが「IT技術」、(t)を高速に回すため「インターネット、ソフトウェア」を中心とした「IT技術」を活用します。例えばソフトの品質を長時間のテストではなく、頻繁なアップデートで担保することができます。「スタートアップ企業」のEVメーカーのテスラは、ディーラーを持たず、自動車の機能更新をすべてソフトウェアで自動更新することで(t)を高速に回す戦略をとっています。 経済の成長に必要なのは「スタートアップ企業」と「IT技術」です。なぜ、日本でイノベーション(Innovation)が起きないのでしょうか? シリーズ「日本縮小」続きは#2で。 ちなみに「日本縮小」は小松左京「日本沈没」、「All You Need Is Innovation」はBe

「海街diary」 私の好きな街、女優そして監督

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是枝裕和監督の映画「海街diary」は私が好きな日本映画のひとつです。 是枝監督が原作の漫画を映画化し、脚本も手掛け、鎌倉で1年以上をかけて撮影された、2015年公開の4姉妹の物語です。映画館で1度見た後も、Amazon Primeで何回か観ています。丁寧な日常の描写、淡々と流れる季節、心洗われるエピソード、愛する人の死、そして家族の再生のドラマは、心を打ち、観るたびに泣けます。 好きな街は鎌倉で、横浜からも近く、海に近く自然も豊かで、歴史的な建物もある観光地です。観光客も多いですが、少し外れたところには、おしゃれな古着屋、カフェ、美味しい飲食店も多く、落ち着いた雰囲気が好きです。住民の方も気さくで穏やかです。映画では鎌倉の古民家を舞台に、春の桜や夏の花火、鎌倉の美しい風景が描かれます。 好きな女優は長澤まさみで、現在の最強女優ではないかと思います。彼女の演技力は、「モテキ」「コンフィデンスマン」のはっちゃけた演技から、「エルビス」のシリアスな演技までの幅広さが相当なものです。この映画では、彼女は主役ではありませんが、樹木希林、大竹しのぶ、綾瀬はるか、夏帆、広瀬すずと錚々たる女優陣の中で、はすっぱな性格だけど悩みながら成長していく次女を演じました。 好きな監督は是枝裕和監督で、映画「歩いても歩いても」からのファンです。普通の家族の普通の日常を描き、その淡々とした日常が、何故か心ひかれます。「そして父になる」「海よりもまだ深く」あたりも好きな作品です。「海街diary」は、尊敬する小津安二郎へのオマージュでもあると思います。鎌倉は小津安二郎が住んでいた場所でもあり、樹木希林演ずる大船の叔母さんは、今はなき「松竹大船撮影所」のあった場所でもあります。 是枝裕和監督は新作の「怪物」も楽しみです。主演「安藤サクラ」音楽「坂本龍一」。奇しくも坂本龍一の遺作となる作品です。ちなみに「安藤サクラ」も好きな女優の一人です。 多少、観るのが怖い気もしますが.. 「海街diary」は安心して観ることができる映画ですから、GWにゆったりとTVでご覧になったらいかがでしょうか?

スワップの秘密

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今回は技術の話と昔の話です。 スマートフォンやパソコンは、CPU(Central Processing Unit)と呼ばれる小さなコンピューターで動作しています。CPUや周辺回路を入れたシリコンのカケラが半導体です。スマートフォン以外にも、炊飯器、時計、ミサイルなどあらゆる電気で動くものに入っています。半導体は不足したり、制裁で入ってこないと、色々なものが作れなくなる重要な部品です。CPUはメモリと呼ばれる別の半導体と共同で色々な仕事をします。CPUはメモリの上司です。 ここからがややこしい話、部下のメモリに対して、2つの系統の上司CPUが存在します。一つは図のようにリトルエンディアン(little endian)と呼ばれる素直でないメモリ格納方法の上司、代表的なのはインテルです。 もう一つはビッグエンディアン(big endian)と呼ばれる素直なメモリ格納方法の上司、代表的なのはモトローラーやIBMです。中にはどちらもできる上司CPUも存在します。 CPUを持つ装置間でメモリ上のデータ交換をすることを、コンピューター間通信と呼びます。代表的な通信方法がインターネット(Internet)です。 異なる上司CPUの装置が通信する場合、どちらかの方式に従う必要があります。インターネットにおいては、ビッグエンディアンという取り決め(Network Byte Order)が存在します。通信をするため、データの順番を入れ替えることをスワップ(swap)と呼びます。スワップは、一般的に入れ替える・交換するという意味ですが、技術者はこの入れ替えを「スワップする」と言います。 スマートフォンで写真を撮って、友人と共有することも、コンピューターの中では結構面倒くさいことが行われています。 私は以前、パナソニックである製品のソフトウェアを設計・開発するチームに所属していました。そこに、CPUや通信についてあまり知識のない新人が、チームに参加することになります。 職場では「そこスワップして」とか「だからスワップは大変」という会話が飛び交っていました。 ある時、新人くんが顔を赤らめて恥ずかしそうに小声で「スワップって恥ずかしいですよ」と私に言ってきました。どうやら「スワッピングパーティー的な」不道徳なパーティを想像したようです。確かに、普段は(swap)という言葉を使わないな。笑(これは

プーチンの首に鈴を付ける インターネット探偵 Bellingcat

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皆さんは「OSINT(オシント)」という言葉をご存知でしょうか?「OSINT(Open-Source Intelligence)」は「オープン・ソース・インテリジェンス」の略称で、誰でも入手可能なインターネット上に公開されている様々なオープンな情報を利用して、ネットニュース、Twitter、FacebookなどのSNSやYouTubeなどの動画、衛星画像、オンラインデータベースなどを調べ上げ、現場に行かなくても事象を分析することができる手法です。 これはオープンな情報を利用するため、国の情報機関でなくとも民間でも活動が可能なことから、「インターネット探偵」とも呼ばれます。OSINTで最も有名な組織が「Bellingcat」です。語源はイソップ童話の「誰が猫の首に鈴をつけるか」から来ています。 著書「We are Bellingcat」は、創始者のEliot Higgins が、 誕生の経緯から2014年のウクライナで起きたマレーシア航空17便撃墜事件の真相を暴き、2018年の元ロシア人二重スパイのセルゲイ・スクリパリ暗殺未遂事の関与した、ロシア工作員チームの身元を特定する過程を語った非常に興味深い本です。一読をお勧めします。 これらの事件を指示したのはロシアをスパイ組織で乗っ取った、今世紀最も残忍で狡猾な犯罪者プーチンです。 インターネット上では、毎日サイバー戦、情報戦、認知戦が仕掛けられ、それを防御し、嘘を暴く防衛戦が繰り広げられています。ロシアはサイバー攻撃を始め、偽情報、プロパガンダをばらまく情報戦を仕掛けてきます。更に、人々の感情を巧みに操作する高度な作戦として認知戦が展開されています。2016年のアメリカ大統領選挙におけるロシアのサイバー攻撃が有名ですが、もっと深刻なのが、トロールと呼ばれるSNSを利用したアメリカ世論の分断作戦です。ディープステイトのような滑稽なウソでも大量にバラ撒けば、一定数の人は信用します。 偽情報や認知戦は、人間の怒りや憎しみの情報は、伝達が速く、大勢に人に伝わりやすい仕組みを利用しています。情報は冷静に「自分の頭」で考えることが、インターネット上に生活する私たちの重要なスキルではないでしょうか。keep calm everything. イラストはCanvaAI(キーワード:SNS、嘘、拡散)で生成

テレワークで聞きべき音楽 グレン・グールド (Glenn Gould)

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音楽を聴きながらテレワークしている人も多いと思いますが、仕事に集中できる曲はありますね。私の場合は、グレン・グールド (Glenn Gould)のピアノ曲です。 私の仕事場でのオーディオ環境は、シリコンバレー発のスピーカー「SONOS-SL One」を使っています。「SL One」2台をステレオでペアリングして、iPhoneとAirPlayでWi-Fiでスピーカーに接続して、iTunes、Amazon Musicで好きな曲を聴いています。SONOSはWi-Fi接続により、Bluetoothよりデータ転送帯域が広いため、非常に音が良くて優れたスピーカーです。このスピーカーについては別途、詳細を記事にするつもりです。 テレワーク中に、最初はBrian Enoのアンビエントなどを流していましたが、やはりGlenn Gouldのピアノ曲が一番心落ち着き、仕事がはかどります。 天才であり変人であったGlenn Gouldは、1964年3月28日のシカゴを最後に演奏活動を止め、没年までレコード録音及びメディアのみで音楽活動を行っていました。 コンサート活動を止めてAbbey Road Studioで「Rubber Soul」を始めに名作アルバムを作り続けた、Beatlesのようでもあります。しかし、書籍「グレン・グールドは語る」のインタビューではBeatlesの音楽を「積み上げられたガラクタ」と酷評しています。 彼のピアノは、純粋でクリア、精細でしかも速い。シンセサイザーやビートもいいけれど、音楽の底の硬い芯(コア)が、Glenn Gouldのピアノかもしれません。私のお勧めプレイリストは以下の通りです。 バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」BWV 988 - 1981年版がお勧めです。 バッハ「イギリス組曲」 BWV 806-811 バッハ「フランス組曲」 BWV 812-817 バッハ「イタリア協奏曲」ヘ長調 BWV 971 chatGPTクラッシック音楽評論家がお勧めのプレイリスト(解説付き) バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」BWV 988 - グールドはこの曲を2回録音しており、世界的に有名です。 バッハ:「イタリア協奏曲」BWV 971 - グールドはこの曲を愛し、何度も録音しています。 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番イ短調Op.111 - 彼の演奏は、深い洞察力と、

横尾忠則 VS 画狂人・北斎

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横尾忠則さんは、イラストレーターの時期から、私の大好きな芸術家です。 YMO結成前の1978年の細野晴臣さんのソロ時代の傑作「はらいそ」のジャケットも横尾さんのデザインです。細野さんからYMOのメンバーになって欲しい要望があり、その気になって記者会見に出席する予定でしたが、仕事の都合で断念したエピソードがあります。 横尾さんは86歳ですが、精力的に活動をされていて、今回「横尾忠則 寒山百得」展が、9月12日~12月3日に東京国立博物館表慶館にて開催されます。本展は、横尾さん(1936年兵庫県生まれ)が「寒山拾得」を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」シリーズの完全新作101点を一挙初公開する、期待の展覧会です。 寒山(かんざん)と拾得(じっとく)とは、中国・唐の時代に生きた伝説上の詩僧のこと。その奇行ぶりから「風狂」ととらえられ、日本、中国では伝統的な画題となってきました。 個人的に横尾さんに近いと思う人物が、江戸時代の天才画家「葛飾北斎」です。代表作に「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」が有名ですが、実験好きの彼は、浮世絵と呼ばれる版画から、肉筆浮世絵、晩年には銅版画、ガラス絵も試みたとのことです。 これは、葛飾北斎、晩年の作品、信州小布施・上町祭屋台天井絵の「怒涛図」の一部です。浮世絵(現在のイラスト)から最後は肉筆画へ移行していきます。 何度も画家の名前「号」を変えたことも有名です。号はメインとサブがあって代表的なものが「卍」「画狂老人」です。 葛飾北斎は1849年享年90歳で亡くなったとされています。作品数は3万点に及ぶと言われています。 横尾さんにも北斎を超えてほしいです。美術展楽しみにしています。