追悼 恩師・田中正次先生 Back to Kyoto in 1980

2022年8月16日、私の大学・大学院の恩師である田中正次先生がお亡くなりになりました。享年93歳でした。昨年、訃報を知らされましたが、今改めてご冥福をお祈りしたいと思います。

文献情報
訃報の連絡をきっかけに、コロナ禍で再会が途絶えていた田中先生の研究室(通称:田中研)の同期の友人と交流が復活しました。そんな彼と横浜の野毛で昼飲みし、久しぶりの再会にお互いの近況や家族、chatGPT関連のAIの話題で盛り上がりました。ひとしきりして、彼がある論文と田中先生の追悼文が掲載された工業会の記事のコピーを手渡してくれました。


手渡された手書きの論文のコピーは1980年11月13-15日に京都大学数理解析研究所で開催された第10回「数値計算のアルゴリズムの研究」で田中先生が発表された「5次陽的Runge-Kutta法の特性の比較と最適化」でした。京都に行ったことは覚えていたけど、論文のことはすっかり忘れていたので、非常に嬉しかったです。

Runge-Kutta法とは、常微分方程式の数値解析法として有名な解法で、現在でも工業分野で広く使われています。田中先生はMr.Runge-Kuttaと呼ばれるほどの世界的にも有名な教授でした。当時、私が行っていたRunge-Kutta法のFORTRANプログラムで、ある程度の結果が出たため、学会で発表したと思います。

5次陽的Runge-Kutta法の特性の比較と最適化
学会には、田中研のメンバーで車で京都に行きました。学会で発表後、田中先生が手配してくれた旅館で、田中先生、山下先生と学生で宴会をしました。学会は緊張したけど、本当に楽しい思い出です。 

田中先生は、男性のみの田中研を気の毒に思ったのか、英和短大(女子の花園)との合ハイを自ら企画して頂いたこともありました。合ハイとは、合同ハイキングの略で、若い男性と女性がハイキング(これも死語)を通して、お互いに交流を深める楽しいイベントの事です。

先生のお陰で本当に知的で、楽しい大学生活を過ごすことができました。この頃の体験が「心の栄養」として、私の財産になっています。又同時代を共に過ごした友人も、私の財産です。Thank you Priceless。

論文は京都大学数理解析研究所のサーバーに今でもアーカイブされています。43年前の私と、田中先生の足跡(Foot Print)はこれからも残ります。
改めて、田中先生と、この論文を紹介してくれた友人ににお礼を言いたいと思います。

参考に関連のURLを記載しておきます。

RIMS 数値解析系研究集会の歴史(PDF)
http://scheme.hn/rims2014/history.pdf

NO.422 1980/11/13~1980/11/15  数値計算のアルゴリズムの研究 目次
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/422.html

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