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半導体戦争 失われた30年

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 1980年代日本では「半導体は産業の米」と言われ半導体が繁栄を極めた時期もありました。現在、半導体は地政学的な「安全保障の重要な米」へと変化しました。 クリス・ミラー著のフィナンシャル・タイムズ ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2022受賞「半導体戦争(CHIP WAR)」は半導体の誕生、進化をアメリカを軸に台湾、日本、韓国の動向、独裁国家のソ連、中国の動向を踏まえ時系列的に描かれた半導体叙事詩です。 著者のクリス・ミラー(Christopher Miller)は技術地政学、半導体、ソ連を専門にするアメリカの政治学者で、この著作で一躍有名になりました。 私はパナソニックで機器のソフト開発に従事し、CPUと呼ばれる半導体(コンピュータ)や周辺の様々な半導体を使い、装置のソフトウェアを開発していたため、半導体の進化や、海外の半導体の栄枯盛衰や日本の半導体の凋落をリアルタイムに経験してきました。 そのため、この本は半導体の進化がわかるテクノロジの物語としてだけでなく、各国の半導体を巡る熾烈な駆け引きの裏側がわかる、スパイ小説のような面白さがあります。 今回のウクライナ戦争、台湾有事からもわかるように「半導体」は安全保障の面からも非常に重要な「物資」であり、製造のための複雑なグローバルサプライチェーンは重要な「システム」でもあります。さらに「半導体」はクラウド、AIといったITの進化に欠かせない重要な成長エンジンでもあります。 本の後半では中国の半導体の情報の盗み出し、海外の半導体会社の買収、社員の引き抜きとあらゆる手段で半導体を1国で製造しようとする試みと、アメリカのファーウェイの締め出し、半導体製造機械の輸出規制の対向措置が詳しく書かれており、正に半導体は安全保障上の重要な「物資」「システム」であることが分かります。 現在の半導体は設計(ファブレス)、前工程(ファウンダリ)、後工程(OSAT)の分業体制で製造されていて、インテルのみが全工程を自前で行っています。 半導体で、性能を決めるプロセスルールを決める工程が前工程(ファウンダリ)でありトップは台湾のTSMCで、現在プロセスの3nmの量産を目指しています。3nmを実現するために重要な装置がオランダのASML社のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置で1台180億円します。TSMCとASML無しでは高性能の半導体は製造

デイヴィッド・ホックニー展 創作は続く

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猛暑のなか東京都現代美術館(MOT)で開催中の「デイヴィッド・ホックニー展」に行きました。 デイヴィッド・ホックニーは1980年代、ニューペインティングブームの頃の「プール」の絵画で有名になり、雑誌「ブルータス」で特集されたり、原宿辺りのおしゃれなカフェバー(今は死語)に絵が飾られたりしたのを思い出します。横尾忠則もニューペインティングに影響を受けてイラストレーターから「画家」に転向します。 最寄り駅が「清澄白河駅」にある東京都現代美術館(MOT)は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)と同様に、現在アートを中心とした展示会を行っている、私の好きな美術館の一つです。過去に大規模な「横尾忠則展」やパヒュームの演出でおなじみの「真鍋大度」の個展などが開催されています。 現代で最も革新的な画家のひとりデイヴィッド・ホックニーの日本では27年ぶりとなる大規模な個展で127点もの作品が展示されています。現在、86歳を迎える彼ですが、現在はフランスのノルマンディーで精力的に作品を作り続けています。 展示会では作品は年代ごとではなく分野ごとに展示され、古い作品と今の作品が見比べられるように工夫されていたり、高い天井を利用した意表を突く展示のレイアウトがあったりと、キュレーターである東京都現代美術館の学芸員がいい仕事をしています。 デビッド・ホックニーは画家本来の創作活動をするとともに、過去の絵画の研究にも熱心で2010年に、科学的、視覚的な根拠により過去の画家はレンズを組み合わせたカメラの原型のような装置を使い密かに精密な画を描いていたという衝撃的な本「秘密の知識」を出版します。当時美術史の常識を変えたことでも有名です。 展示会の終盤にあたる1階に展示されている最近の作品群は特に圧巻です。2019年から彼はノルマンディーで創作活動を開始し、コロナ禍のなかiPod、インクジェットプリンター等の最新のテクノロジーを使い、日本の絵巻物に影響を受けた全長90メートルの大作「ノルマンディの12か月」を作成します。この階は写真撮影が許可されていますので、行かれた方は自分の好きなアングルでこの巨大作品を写真に収めることをお勧めします。 デイヴィッド・ホックニー、横尾忠則は80歳代で、草間彌生に至っては90歳代で創作活動を続けています。何か新しいモノを創作することは、多大な労力を要しますがその対価

GenAI(生成AI) Googleの反撃なるか

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 業務でGoogle Workspace企業版を利用している関係で、Google Cloudイベント「Duet AI for Google Workspace」に参加しましたので記事にしたいと思います。残念ながら渋谷のGoogleビルでのリアル参加は抽選で外れたため、オンラインでの参加でした。 「Google Workspace」とはMicrosoftの「Office365」の対抗サービスという説明が分かりやすいかと思います。Googleはどちらかと言えば、「検索」で広告料収入を得ていましたが、「Google Workspace」は企業向けサービスとしてMicrosoftと同様なビジネスモデルを構築する狙いがあります。なぜなら不安定な広告収入より企業からのライセンス収入のほうが収入を予測できるため、ビジネスとして安定するからです。 この図は総務省のAIを説明する一般的な概念図です。AIという言葉は抽象的なため誤解が多いのですが、現在GenAI(生成AI)を始めとするAIの革新的な進歩は、深層学習(Deep Learning)と呼ばれる分野で起こっています。深層学習はアルゴリズムと巨大なデータ、そしてこれらを処理する高速の計算能力を持つコンピュータから構成されるます。アルゴリズムのベースはニューラルネットワークと言われる人間の脳をモデルとした学習アルゴリズムです。 Googleは、深層学習の分野で常にトップランナーでした。2012年、深層学習の中のCNN(Convolutional Neural Network)アルゴリズムAlexNetで画像認識大会で優勝し、その後、DeepMind社を買収し2016年アルファ碁でプロの棋士に勝利します。 2017年に現在のGenAIの基礎となるアルゴリズムがGoogle/トロント大学から発表されます。それが「Transformer」と呼ばれる自然言語処理に最適なニューラルネットワークのアルゴリズムです。2019年このアルゴリズムを応用するスタートアップ企業OpenAIにMicrosoftが資本提携します。そして2022年の夏には画像生成AIがリリース、11/30にchatGPTがリリースされ、現在のGenAIのムーブメントが始まります。深層学習はもの凄いスピードで進化しています。 「Transformer」をどう使うか考えたいたG

小さき青き鳥を忘れず Twitterのロゴマークが「X」に変更

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段階的に Twitterのロゴマークが「X」に変わりつつあります。イーロン・マスクのTwitter買収の目的は、Twitterを統合アプリにしてマネタイズの仕組みを構築し収益を上げる事にあったので、リブランディング戦略であるロゴマークの変更は単なる思いつきではなく、予定された戦略だったと思います。今回のブランド変更はTwitterは「X」という統合アプリとして今後展開しますというプロモーションです。ニュースに取り上げられるので、広告料はかかりません。さすがイーロン・マスクは巧みにメディアを利用します。 私の場合は、Twitterは矢野顕子や鈴木慶一、野宮真貴といったミュージシャン本人の「つぶやき」を閲覧していた程度なので、イーロン・マスクのTwitter買収を受けて、アカウントを削除しました。エンジニアの大量解雇によってシステムが脆弱になりアカウントの流出が懸念されたためです。以降、Twitter無しで生活していますが特に困りません。 今回のロゴ変更で、イーロン・マスクの欲しかったものは「Twitter文化」ではなく、世界で4億人以上いるアクティブユーザーだったことが分かります。本来のM&Aとはそういうものなのでしょう。 「Twitter文化」を惜しむ声も多く聞かれます。朝ドラ「舞いあがれ」で再注目された歌人の俵万智もTwitter上に以下の句をつぶやきました。以下引用 言の葉を ついと咥(くわ)えて 飛んでゆく 小さき青き鳥を忘れず このままで いいのに異論は 届かない マスクの下に唇をかむ 寂しいね… Twitterとイーロン・マスクを入れながら、自らの心情を吐露するところは、さすが言葉のプロです。 Twitterなどのアメリカで運用されているSNSは、アメリカの資本主義の原理で動きます。この際、Twitterからアメリカの影響を受けない純国産SNSのミクシーに乗り換えるのも良いかもしれません。

MicrosoftはGenAI(生成AI)のリーダーになれるか

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 生成AIブームは盛り上がりを見せています。日本語の生成AIは、英語のGenerative AIとはニュアンスが異なるため最近では、シリコンバレーでよく使われている省略形GenAIと呼ばれることが増えています。この記事では生成AIをGenAIと呼ぶようにします。 2023年7月18日、Microsoftは、Officeソフトウェアと連動する新たな法人向けGenAIツール「Copilot(コパイロット)」の利用料金を月額30ドルで提供することを発表しました。chatGPTに代表されるchat型のGenAIは、敷居が高くて使いこなすのが難しいと考えている人も多いと思いますが、業務で使用しているExcelやWord、パワポの中にGenAIが組み込まれることにより、爆発的にGenAIの利用が進むことが予想されます。 又、Meta(旧:フェースブック)は同日に、次世代のオープンソース大規模言語モデル「Llama 2」の提供開始を発表しました。更にMicrosoftとMetaは、長年のパートナーシップを拡大し、MicrosoftはLlama 2 の優先パートナーになることも発表しました。 Microsoftの株価は18日に約4%上昇し、過去最高値を更新し、時価総額は2兆6700億ドル(約372兆円)となりました。GenAIの世界でMicrosoftとMetaが連携し、Googleに対峙する事になります。 GAFAMのなかでMicrosoftはコンシューマー向けではなく企業向けの影響力が強いため、GenAIが一部の技術オタクのネタから一気にビジネスツールとして普及するかもしれません。 個人的にはWindowsのアップデート、Officeのバグ等でMicrosoftには痛い目ばかりあっていますが、GenAIのリーダーは何処になるのか、動向が気になります。 GenAIのメインプレイヤーはアメリカであり、日本企業はGenAI競争には関係なさそうですが、いいニュースもあります。 2023年7月6日に、日本のIoTスタートアップ企業のSORACOMと日本のAIの第一プレイヤーの東京大学大学院工学系研究科松尾研究室がGenAIのIoT分野での活用を研究・推進するチーム「IoT x GenAI Lab」を設立しました。これからは日本の新しい産学連携の新しいプレイヤーに期待したいと思います。

「空気」の正体 ジャニーズ関連の山下達郎発言に思う#2

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 ジャニーズ関連の山下達郎発言に思うの第二弾です。2023年7月9日の山下達郎のサンソンの発言を受けてネットは大炎上しました。 ネガティブな記事も多くなりました。 ゲンダイ記事より「サブスク解禁は拒否、コンサートで観客に説教」「いくら山下の音楽が素晴らしくても、こんな頑迷固陋な“裸の王様”ではファンの落胆も当然。大いに晩節を汚すことになる。」 関係者の話「時代に流されない職人肌と言えば聞こえはいいですが、時代とズレたわがままなガンコ親父ですよ。」 レコード会社スタッフ「ラジオでも『山下達郎のアルバムが予定通りに出るわけはないんですよ』などと開き直って話しています。振り回されるスタッフは大変です。」 ファンのブログより「「一音楽家」って言いながら、心は、アーティスト側ではないのが、バレバレ。「晩節を汚した」って書いていたマスコミもいましたが、私も今回の放送を聴いて、正直、山下達郎さんには、幻滅しました。」 音楽YouTuber・みのさんの動画より「紛れもなく忖度、そして長い物には巻かれるものだと私は考えます。というか、これはもう開き直りですよね。」 私は、Radikoで山下達郎の発言を自ら聴きましたが「大いに晩節を汚すことになる。」ような発言ではないと思っています。 そんな時期7月12日にタレントの「りゅうちぇる」さんが自殺します。Googleトレンドというその時の検索数を調べるツールを使うと、一般人「空気」の傾向がわかります。このグラフでわかるように、「りゅうちぇる」さんの自殺をきっかけに山下達郎関連の検索は減り、批判的な記事は無くなります。 検索数の比較は桁が違うため、あえて2つのグラフにしましたが、自殺の原因がSNS、ネットニュースの誹謗中傷ではないかという憶測が出て「誹謗」の検索の増加と逆に「山下達郎」の検索数が減っているのがわかります。 なぜ「山下達郎」の検索数が減ったかと言えば、誹謗中傷はまずいなという「空気」が形成されたことと、タレントの「りゅうちぇる」さんのほうが誰でも知っている人なので人々の関心が「山下達郎」から「りゅうちぇる」へ移ったためだと思われます。 「空気」はその場、その時の雰囲気であり、どんどん変化していきます。時代の「空気」は所詮そんなものです。いちいち敏感になる必要もありません。 問題発言の翌週の7月15日の山下達郎のサンソンは、ジャニ

ブライアン・イーノ旧作をリビルド Dolby Atmosへの挑戦 

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最近、音楽や映画で話題になっている、ドルビーアトモス(  Dolby Atmos)は、ドルビー研究所の開発した音をより立体的に再生することができる新しいサラウンド再生規格です。 従来はチャンネル毎に割り付けられたトラックに音声データを用意するのではなく、音の固まり毎に音声データと位置情報を用意して、音の再生時に  、リアルタイムに演算をして音の位置からの再生を行うため、音の左右上下の音場が再現できる優れた規格です。 装置のCPU、DSPの演算速度が早くなったため映画館だけでなく、最近ではホームシアター用スピーカーや、スマートフォンのイアホンでも再生可能になりました。 最近、私の所有しているSONOSのスピーカーにサブウーファーを追加購入して、映画を サラウンドで 観ています。SONOSは ドルビーアトモス対応のため、 アトモス 対応の映画はより 立体的なサラウンドを楽しむことができます。 2023年7月、私の好きなミュージシャン、ブライアン・イーノが旧作を含む以下の7作品をドルビーアトモスでAmazon Music Apple等で配信を開始しました。 「Taking Tiger Mountain」(1974年) 「Another Green World」(1975年) 「Small Craft On A Milk Sea」(2010年) 「Drums Between The Bells」(2011年) 「LUX」(2012年) 「Reflection」(2016年) 「The Ship」(2016年) 今年、75歳になるブライアン・イーノですが、積極的に最新のテクノロジーを取り入れて自ら新しい領域に入っていく好奇心とチャレンジ精神は尊敬に値します。彼はドルビーアトモスについて以下のように語っています。 「3D音楽が興味深いのは、(ステレオ・リスニングなどによってもたらされる)2次元の空間よりもはるかに多くのディテールを維持した没入空間を作り得る可能性があることです。私たちの耳は目ほど指向性がありませんが、それでも空間内の音の位置を特定する能力があり、3次元で聴くことで、まったく新しい作曲の可能性が生まれ、またそれによってリスナーに、より複雑な方法で音楽空間を“探検”する経験を可能にします。それこそが、2次元のサウンド・ペインティング(2D絵画)から3次元のサウンド・

楽天モバイルとラマンチャの男「三木谷社長」

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新聞記者は上司から「携帯は必ずNTTドコモを持て」と言われるそうです。それは新聞記者が、過疎地域や離島、山岳地帯に取材に行った時に、一番繋がりやすいのはNTTドコモであることを経験上知っているからです。 携帯事業の本質は、日本全国、津々浦々に携帯の基地局をどれだけ設置しているかの基地局の量と質にあります。「人口カバー率」という指標はトリックがあり、都市部に集中的に基地局を設置すれば上がるため、総務省は「基盤展開率」と言った日本全土を10Kmのメッシュにして基地局の数を指標にしようとしています。NTTドコモの場合、前身が国営企業であったこともあり、国からの補助金を受けて離島、山岳地帯に地道に基地局を設置しています。そのため「基盤展開率」はキャリアの中で一番です。 この携帯の世界に無謀にも参入した会社があります。それが「三木谷社長」率いる楽天モバイルです。図は各キャリアの設備投資額を表すグラフです。2020年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5691億円、KDDI(au)は3615億円、ソフトバンクが3569億円、楽天モバイルは3359億円と楽天モバイルが最も低いことがわかります。他の3キャリアは既に既存の基地局を保有しているにも関わらず、5G等の投資を行っています。ゼロから基地局を設置していく楽天モバイルの投資額は他のキャリアを大幅に超えていないといけないのですが、この設備投資額はショボすぎます。 最近、YouTubeでホリエモンがさかんに「楽天モバイル売却説」を流しています。ホリエモンは、ライブドア時代に球団買収を試み、最後三木谷社長が「楽天」球団を買収したため個人的な恨みもあるかもしれませんが、楽天モバイルの売却は現実的な流れだと思います。 挑戦と無謀は明らかに違います。自らを騎士と名のり風車に向かって剣をふる「ドン・キホーテ」ことラマンチャの男が、今の「三木谷社長」かもしれません。 最終的に不利益を被るのは「楽天モバイル」のユーザーです。もしあなたや、ご家族が行方不明になった時に、位置情報を特定できるのは、基地局の多いキャリアに加入している携帯電話(スマホ)です。 従って、個人的には「楽天モバイル」の新規加入はお勧めしません。携帯が繋がりやすくコストが安くなるお勧めの方法はNVMO(仮想移動体通信事業者)で基地局をNTTドコモに指定する事です。N

バルカンファイル(Vulkan Files)流出 犯罪国家ロシア#2

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 最近、一般的には報道されていませんが、サイバーセキュリティの関係者で話題になっているニュースがあります。それが「Vulkanファイル」流出事件です。 ロシアのサイバー攻撃については、ウクライナ戦争以前から2016年のアメリカ大統領選挙に介入しトランプを勝利させたことで有名ですが、IPアドレスのルーティング等からの推測であり完全な証拠があったわけではありません。 今回の「Vulkanファイル」流出事件は、スノーデン事件と同様に内部告発型事件です。 スノーデンは、アメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の請負会社であるコンサルタント会社「ブーズ・アレン・ハミルトン」のシステム分析官として、アメリカ合衆国連邦政府による情報収集活動に関わった人物です。 2013年6月に複数のメディアに対して、NSAによる国際的監視網(PRISM)の実在を告発し、大事件となりました。その後、アメリカで逮捕されそうになった彼は、皮肉にもロシアに亡命します。 今回、ロシアから流出した文書「Vulkanファイル」はロシアのIT企業「NTC Vulkan」の社員からドイツのある記者へと共有されたファイルです。流出の動機について社員は「この会社は悪いことをしている、そしてロシア政府は卑怯で間違っている」さらに「私はウクライナ侵攻について怒っている、あそこでは酷いことが起きている」、「あなたがこの情報を使って閉ざされたドアの裏側で何が怒っているのかを知らしめてくれることを願っている」と語っているそうです。 その後このドイツ人記者はワシントン・ポスト紙などのニュースメディア数社からなるグループへ文書を共有し、その後「Vulkan ファイル」を入手したワシントン・ポスト紙は、各情報機関、サイバーセキュリティ専門家に裏取りをした後に、記事として公開しました。 文書には、ウクライナで報告された停電や韓国におけるオリンピックの妨害といった大規模なセキュリティ事件や、悪名高きマルウェア「NotPetya」の作成に関与したさまざまなロシアのハッキングツールについて書かれています。  また、NTC Vulkan と、「FSB(ロシア連邦保安庁)」「GRU(ロシア軍参謀本部情報総局)」「SRV(ロシア対外情報庁)」といったロシアの情報機関や軍事機関との関係を結びつける情報も示されています。リー

マイナカードに物申す#2 どうする富士通 

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マイナカードに物申す#2です。今回はこのシステムを請け負っている富士通についての記事です。 富士通は6月29日、マイナカードを使った証明書交付サービスについて、システムを再停止して点検し直すと発表しました。福岡県宗像市で起きた別人の住民票が交付されるなどのトラブルが再び見つかったためです。全国123自治体で再びサービスが使えなくなり、再開の時期は未定ということです。 6月30日に追い打ちをかけるように総務省は、富士通のサイバー攻撃への対策に不備があったとして同社とその子会社を行政指導したと発表しました。 同社の法人向けのインターネット回線サービスがサイバー攻撃を受け、約1700の企業や政府機関の情報が流出した可能性があるとのことです。サイバー攻撃によって情報を漏洩(ろうえい)された企業が、総務省から指導を受けるのは初めてとの事です。 2021年8月に「みずほ銀行」大規模障害が発生しました。障害の原因の各業務システムを統合するプラットホームを担当したのも富士通でした。 みずほ銀行の前身である第一勧業、富士、日本興業の旧3行が利用していた富士通、日本IBM、日立製作所のシステムです。通常のシステム統合は1社に統一するのですが、政治的な思惑で3社のシステムを活かしながら業務毎にシステムが接続されています。 そのため、みずほ銀行システムは「IT業界のサグラダファミリア」と揶揄されるように開発期間19年、開発費4000億以上かかった複雑なシステムで、「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」という本にもなっていますので、興味のある方は一読をお勧めします。 私は富士通の関係者ではないのですが、ソフトのシステム設計に関わる立場から、原因を考察してみたいと思います。富士通の内情は「5年いた富士通を退職した理由」というブログ記事を参考にしました。日本のIT業界の構造的な問題に対する私の考察です。 (考察開始) 日本の大規模システムは、富士通をはじめとする大手のIT企業が受注します。建設大手ゼネコンと同様に業務は下請けに委託し、下請けは更にその下請けに再委託していきます。 開発元は、仕様書まで下請けに丸投げするため、システム設計、コーディングすら出来ない社員がいると予想されます。彼らの仕事は下請けの選定と進捗管理のみで、実際にシステムの障害が発生してもその内容を把握できません。更に再委

「罪の声」 週末は家で映画を

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以前は、週末にブロックバスターやTSUTAYAで観たい映画の DVDを借りて家で観ていましたが、現在はAmazon Fire TV Stick 4K Maxでアマプラ会員のプライム・ビデオをオンデマンドで観る生活へ変わりました。便利な時代に感謝です。 Amazon Fire TV Stickは非常によく出来たデバイスで、TVのHDMI端子に差すだけで、インターネットTVになります。最近のTVに内蔵されているインターネットTV機能よりもはるかに優れているのでアマプラ会員の方は購入をお勧めします。7月11日からAmazonプライムデーが始まるので期間中に購入すると更に安くなるかもしれません。 週末は4Kの大型TVとサラウンドスピーカーで、ビールやワインを飲みながら映画を観るのも良いものです。 プライム・ビデオも色々な映画があるので選ぶのが大変ですが、最近ではトム・クランシーのジャック・ライアンのファイナルシーズンがはじまりました。この作品もお勧めのAmazonオリジナルシリーズです。 今回、プライム・ビデオで無料で観ることができるお勧め映画「罪の声」を紹介します。 「罪の声」は塩田武士のサスペンス小説を原作とした2020年に公開された、小栗旬と星野源の初共演の映画です。1984年に大阪・神戸で起きた多くの謎を残した未解決事件「グリコ・森永事件」の真相に迫るサスペンス・ミステリー映画です。 映画では「ギン萬事件」とされていますが、フィクションとノンフィクション入り混じった非常によく出来た脚本と小栗旬と星野源の演技・存在感が伝わってくる作品です。又、梶芽衣子・宇崎竜童・火野正平・橋本じゅんなどの脇を固める俳優陣もいい仕事をしています。 特に子供の頃に自分の声が事件の脅迫テープに使われたことを知り、真相を調査していく京都でスーツの仕立て屋をする一般男性に扮する星野源の演技が素晴らしいです。 星野源は、「逃げ恥」や「MIU404」等のドラマ俳優、「よみがえる変態」をはじめとする軽妙なエッセイを執筆する作家、新垣結衣の夫と多彩な顔をもつ、細野晴臣に憧れる有名ミュージシャンですが、映画俳優としても素晴らしい才能を発揮しています。 小栗旬と星野源のバディが事件の真相に迫ると、事件に巻き込まれた犯人の一人の家族の壮絶な人生を知ることとなります。ひとしきり事件が解決し、ストーリーが終了し

家電メーカースリーアップのサーキュレーター 日本家電の逆襲

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今まで、洗面所は冬はセラミックファンヒーター、夏はタワー型扇風機を使っていましたが、入れ替えが面倒なのと場所をとるので、夏も冬も使えるサーキュレーターを探していました。  ネットや、実店舗を探して見つけたのが、スリーアップのHC-AR1809 衣類乾燥サーキュレーター ヒート&クールでした。店頭で別機種を見て、メーカー名からネットで検索しました。 モーター系の家電を購入する場合、重要なのは日本製かどうかです。 モーター、バッテリーのある家電は、火災・爆発の危険を考えて中国製は避けたほうが無難です。 又、タブレット、スマートフォン、パソコン、ネットワークカメラ等のインターネットに繋がる製品は中国製は避けることをお勧めします。基本的に位置情報、個人情報、買い物履歴、画像のデータは全て中国のサーバーに送られて、必要に応じて中国政府が見ていると思って間違いありません。 スリーアップの会社概要は会社名は スリーアップ株式会社、本社は大阪市中央区で、創立は2007年、資本金が3000万、従業員数は52名のバルミューダと同様の日本のスタートアップ家電メーカーでした。驚くべきことに売上は2022年で49億です。 ファブレス(工場を持たない)メーカ特有の事情を考慮しても、素晴らしい売上です。 早速、ネットで注文して届いたので試してみました。とにかく軽くて取り回しもよく音も静かで非常に使いやすく、 デザインもよく、 色も白でマット 加工がされており高級感があり価格は¥89.800円でした。 小規模な会社は、 開発企画段階からの誰でも企画に参加することが可能です。開発段階から従来の開発チームとお客様が繋がり、商品企画ができる時代なかもしれません。 これからは、 日本家電の逆襲が始まるかもしれません。乞うご期待。

マイナカードに物申す#1 マスコミ問題

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 最近、マイナカードのトラブルが話題になっています。マイナカードは今後日本がIT立国として生き残れるのか、重要なインフラでもあります。今回は、私の職業でもあるソフトウエアシステム技術者としての視点からマイナカードに物申したいと思います。 問題点1マスコミのネガティブキャンペーン マイナカードは2023年4月の時点での交付枚数は8440万枚です、私の知る限り不具合の報告は多くても1万以下ですから初期不良率は0.011%です。人間が介在しているシステムの場合エラーは必ず発生するためこの程度はありうる数字として許容すべきだと思います。しかもシステムの移行作業は想定しないエラーは発生することは当然のことなので、大騒ぎする必要はないと思います。 又、マイナカードは国がプライバシーを侵害するからけしからんのような根拠のない論調も間違っています。 現在、私たちはAmazonやAppleの便利なサービスを享受するためにクレジット番号、住所、氏名、年齢などの様々な個人情報をアメリカの一企業に預けています。これらのサービスを利用するためには使用する前に「使用許諾書」に同意するのチェックボタンを押さないと利用できません。私たちの個人データは個人特定の広告などで利用されていますが、その事は「使用許諾書」に書かれています。 日本の政府は企業ではなく、厳正に日本の法律に則り個人情報を運用を行っています。Amazonと日本政府どちらを信用するかと言えば日本政府です。ITがわからないマスコミが不安を煽りすぎではないでしょうか。 もちろん、行政側の問題もありますので次回から取り上げたいと思います。 そもそもこのマイナちゃんというキャラクタから問題ありますね。 マイナカードで良かった点もあります。90年代、日本の半導体が世界を席巻し、NECを始めとするパソコンが売れてIT立国と思っていた国が、30年後、先進国の中でITが最も遅れていることが国民全体がわかったことです。 ※今回掲載にあたり使用条件をHPで確認しましたが使用申請の条件にはあたらないため掲載します。

音声読み上げ「Amazon Polly」で文章の校正

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ブログ記事をchatGPTのWeb-APIを使った自作ソフト「chatGPT編集長」に校正してもらっていますが、意外と「てにをは」のチェックが甘く、読み直すと表現がおかしい箇所があります。 最後は自分で原稿を読み直してチェックするのですが、新たな校正ツールとして、テキストの音声読み上げを使用することにしました。 人間の脳は普段から耳で会話を聞き、内容を判断しているため、契約書などは、自分で文章を読み込むよりも、読み上げてもらうほうが効率的に違和感のある箇所や間違いを探せると言われています。 業務では「音読さん」を使用して、主に動画のナレーション作成に使用しています。無料版では1月5000文字で、私のブログの1記事が平均1200文字程度なので、無料版枠を超えてしまいます。 ネットで調べた結果、AWS(Amazon Web Service)の中に深層学習を使ったテキスト読み上げサービス「Amazon Polly」が1年間は500万文字/月無料です。1年過ぎると100万文字/月で4ドルなので、お試しで使ってみることにしました。おそらく、家で使っているスマートスピーカーAlexaも同じ技術を使っていると思います。 AWSは個人での使用のため、ブログ用のAWSアカウントを作成して、「Amazon Polly」を早速試してみました。使い方はWeb上にテキストエリアに読み上げるテキストをコピーをして「読み上げ」ボタンを押すだけです。「音読さん」よりもイントネーションが劣る気もしますが、目的は文章のチェックなので十分使えます。 Amazonはネットショッピングの会社のイメージがありますが、自社でショッピングサイトを運用するために使用していたサーバーを利用して新たなビジネスモデルを構築しました。それがクラウドコンピュータのサービスAWS(Amazon Web Services)です。AWSはクラウドの基本となるプラットフォームで、「メルカリ」などのSaaS(Software as a Service)の下支えになっている技術です。現在、クラウドのシェアはトップですが、MicrosoftのクラウドAzureに猛追をされています。原因は生成AIに特化したクラウドコンピューターをMicrosoftが提供しているからです。chatGPTもMicrosoft Azure上で動作しています。 生

WWDC2023開催 MRヘッドセット「Apple Vision Pro」登場

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 6月5日(日本時間6月6日)にアップルの開発者向け会議WWDC2023(Worldwide Developers Conference 2023)が開催されました。 毎年新製品の発表があるアップルのWWDCですが、今回注目されていたのはMRヘッドセットでした。MR(Mixed Reality)とは、仮想現実VR(Virtual Reality)と拡張現実AR(Augmented Reality)を組み合わせた複合現実のことを指します。 そして、今回のイベントでついにMRヘッドセット「Apple Vision Pro」が発表されました。ビデオを観る限り、メタのVRヘッドマウントディスプレイ「Meta Quest Pro」、つまりメタバースのヘッドセットとは一線を画する製品です。 メタのVRヘッドセットでは、装着すると仮想空間VRの中に没入するため、装着中の長時間使用は非常に疲れます。また、現実の世界が見えないため、事件や事故災害の発生などの安全上の問題も懸念されます。 一方、アップルの「Apple Vision Pro」は、仮想と現実を組み合わせて、通常の景色の中に仮想的なオブジェクトを出現させるため、装着していても疲れることはありません。 最新鋭のLED、マイクロLEDが、4K相当の解像度のディスプレイに左右の目にそれぞれ2つ搭載されており、両眼の視神経の解像度を超えるため、本物のように見えます。 しかし、価格が3499ドルと日本円で50万近くするため、新型のMacなど他の新製品を発表したにも関わらず、株価は184ドルから178ドルまで下落してしまいました。 iPhoneにしても、Apple Watchにしても、発表された時点ではネガティブな評価もありましたが、アップルは、他のテック企業よりも地道にコストダウンやソフトウェアのブラッシュアップを誠実に行う会社です。今後、「Apple Vision Pro」が「Apple Watch」のようにブレイクするか、「Apple TV」のようにブレイクしないかはわかりませんが、新しい驚きを私たちに与えてくれたのは確かです。新製品はワクワクします。

Sonos(ソノス) スマートスピーカーの独立と連携

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音楽や映画が好きな私にとって、部屋のスピーカーは重要なデバイスです。以前はBOSEの5.1chスピーカーを使っていました。AVアンプを購入してシアターシステムを構築していましたが、リアスピーカーにケーブルを引き回す必要があり、段々と面倒になり、引っ越しの時に手放しました。 その後、iPhoneを音楽プレーヤーにして、Bluetoothスピーカーを接続して音楽を聴くようになり、CDプレイヤーやAVアンプも手放しました。コンピュータシステム同様に、オーディオも従来のアンプを中心とした中央集権型(centralization)から、非中央集権型(decentralization)へ移行していきます。 大型TVを購入した時に、サウンドバー「Sonos Beam (Gen 2)」を購入しました。 Sonosは西海岸サンタバーバラに拠点を置くアメリカの新興スピーカーメーカーです。ライゾマティクス真鍋大度も注目するスピーカーのAppleと言われるほど、スピーカーを「再発明」したメーカーです。 ウエストコースト特有の、シャープでカラッとした乾いた音が印象的です。設計思想が素晴らしく、全てのスピーカーはCPUを搭載したスマートスピーカーとして動作します。スピーカーケーブルは不要で、HDMIとワイヤレス(WiFi、Bluetooth)で動作します。Appleフレンドリーに設計されていて、AirPlayに対応し、スピーカーの制御はiPhoneのアプリで行います。 サウンドバーを購入してから、暫く立った時に、今まで使っていたJBLのBluetooth防水スピーカーが故障しました。JBLの防水スピーカーは屋外で使用することができ、ベランダで本を読みながら、お風呂に入りながら音楽を聴くことが出来ます。 代わりに「Sonos Roam」を購入しました。Amazon Alexaスピーカーのソフトを内蔵しているため、普段はリビングに置いてAlexaスピーカーとして使用できます。そのため、今まで使っていた「Amazon Echo」をメルカリで売りました。 更に、テレワーク中に良い音質で音楽を聴きたいと思い、「Sonos One SL」を2台購入しました。2台をステレオペアリングすることで、iPhoneが高級音楽プレイヤーに生まれ変わります。普段は仕事場のスピーカーとして使用しますが、リビングで映画を観

モバイルの歴史 絵具チューブとウォークマンそしてiPhone

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最近、携帯電話やスマートフォンをモバイル端末、略してモバイルと呼称するようになりました。モバイルは英語でmobile(発音は「モボ」に近い)で、ラテン語のmobilis(動かせる)から派生しています。つまりmoveo(動かす)+-bilis(~できる)が語源で、「動かせること」を意味します。 1928年、ヨーロッパの絵画の世界でイノベーションが起きます。金属製絵具チューブの発明です。 従来、絵画は絵具が乾いてしまうために、アトリエで作成されていました。絵具チューブの発明により、絵画を戸外でも制作出来るようになります。 画家たちにとっては、戸外で絵を描くことは新たな驚きと発見があり、アトリエにはなかった自然光の元で風景が描けるようになります。絵具チューブの発明が印象派の誕生につながる一つの要因とされています。モバイルが絵画に影響を与えることなりました。  1979年、私が学生の頃にソニーから、画期的な商品「ウォークマン」が発売されました。「ウォークマン」は音楽を「聴く」から「持ち歩く」へをコンセプトに開発されたポータブルカセットプレイヤーです。当時3万3000円とかなり高額だったため、ウォークマンを先輩にお借りして原付きバイクに乗りながら音楽を聴いたことがありました。音楽を聴きながら街の風景が変わっていく様は、今でも新鮮に覚えているほどのインパクトがありました。音楽のモバイルの始まりです。 2001年、私が社会人の頃にAppleから、画期的なハードディスクのモバイル音楽プレイヤー「iPod」が発売されます。 私は第3世代iPodの10GBを購入しました。価格は初代「ウォークマン」とほぼ同様の3万6800円でした。私が持っている全ての曲がデジタル化され、iPodに入り、いつでも好きな曲を聴くことができるのは、本当に感動的でした。その後、iPodは進化を遂げて、ハードディスクからフラッシュメモリーに変化し、更に薄く軽くなりました。 2007年、最も重要な変化が起こります。日本ではガラパゴス携帯電話が最盛期の時代にAppleのiPhoneが誕生します。インターネットに繋がることにより音楽はクラウドまで拡張されました。iPhoneは携帯電話の進化系ではなく、iPod(モバイル音楽プレイヤー)の進化系であり、Mac(コンピューター)の進化系です。 さらにこの時点で、Appleは

ゴールドラッシュとシャベル NVIDIAの躍進 

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新しく発見された金の土地に一攫千金を狙う採掘者が殺到することをゴールドラッシュ(Gold Rush)と言います。1848年ごろにアメリカ合衆国カリフォルニア州で起きたゴールドラッシュは、西部劇などでも有名です。 個人的には、矢沢永吉が口から黄金のような光を吐き出すアルバム「ゴールドラッシュ」のジャケットを思い浮かべてしまいます。 一方、ゴールドラッシュは投機的なものに人気が殺到するたとえでもあります。今、chatGPTを始めとする生成AIのブームはAIゴールドラッシュとも言われいます。 新しい金を求めて、マイクロソフトを始めとするテック企業、活用を模索する一般企業・政府、アプリケーションを開発するスタートアップ企業、AI評論家、コンサルティングなど多数の人々が、生成AIに集結しています。 そんな生成AIを下支えする企業が、生成AIに親和性の高い半導体を製造するNVIDIAです。NVIDIAはアメリカのシリコンバレーにある半導体メーカーであり、元々はゲーマーの間で「グラボ」と呼ばれるゲーム用の3Dグラフィックスボードを専用に製造していました。ゲームではリアルな画像描画のために、座標位置などの計算をベクター単位で高速に行う必要があります。そのため、グラフィックに特化した専用の半導体がGPUでした。 NVIDIAは2016年以降の深層学習(ディープラーニング)ブームで転機を迎えました。AIの深層学習に使用するテンソル計算にGPUが向いていることが分かり、GPUは次第に深層学習の学習データ作成用のPCに採用されていくようになります。2023年のCOMPUTEXでのNVIDIAのCEOのKeynoteによると、同社は現在、サーバー分野のAIにシフトしようとしています。 最近、NVIDIAの決算がアナリストの予想よりも良かったため、株価は急騰し、時価総額は一時期1兆ドルを超えました。半導体メーカーでは初めてのことです。アップル、マイクロソフトと並ぶ新しい巨大テック企業の誕生です。2021年に一度、株価が上昇したのは、業界では有名なCPUの会社ARMをNVIDIAが買収しようとしたからです。独占禁止法に抵触するおそれがあったため株価は一時下落しましたが、生成AIのゴールドラッシュにより株価が急騰しました。 カリフォルニアのゴールドラッシュでは金を見るける人とそうでない人で明暗が別

映画「オッペンハイマー」 3人の学者の生き方

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 クリストファー・ノーランは好きな監督の一人です。彼の新作映画「オッペンハイマー」(Oppenheimer)が2023年7月21日に日本で公開されます。 「オッペンハイマー」は、ドイツの原子爆弾開発に対抗してアメリカが始めた原子爆弾開発プロジェクト「マンハッタン・プロジェクト」のリーダーである物理学者オッペンハイマーを描いたノンフィクション映画です。クリストファー・ノーラン監督は、SFアクション映画が得意ですが、今回は「ダンケルク」と同様の戦争歴史モノに挑戦します。 私の一番好きな作品は「インセプション」です。この2010年のSFアクション映画には、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン、マリオン・コティヤールらが出演しました。物語は、さまざまな夢の世界に入り込んで情報を盗むプロの盗賊たちの話です。話は夢が多重構造になっているために複雑ですが、夢の中の映像がスタイリッシュで美しく、最後まで楽しませてもらえました。また、メンバーを集めていくシーンはスパイ映画のオマージュでもありますし、あるミッションを遂行するプロジェクトの話でもあります。 製品開発やソフト開発では、規模に応じて開発部門、テスト部門、マニュアル部門などから人材を集めて〇〇プロジェクトという名前のプロジェクトを立ち上げます。このプロジェクトを統括するのがPL、すなわちプロジェクト・リーダーです。 最新作は、PL「オッペンハイマー」がマンハッタン・プロジェクトというミッションを遂行していく苦悩と、現在、リアルな世界危機として捉えられている、核の問題にどう向き合ったのかが描かれると思います。3名の学者が、映画でどう描かれるのかのが楽しみです。1人目はオッペンハイマー自身です。 2人目はアインシュタインです。アインシュタインが原爆を作るようにルーズベルト大統領に手紙を出したことが、核兵器製造の発端だったとの定説がありますが、実際はどうだったのか興味があります。 なぜなら、アインシュタインの方程式「E=MC ²」 は質量が欠ける時に巨大なエネルギーに変換されるという、原子爆弾の根本的なの理論だからです。 3人目は、コンピューターの父フォン・ノイマンです。現在、私たちの使用しているスマートフォン(コンピューター)はノイマン型と呼ばれるプログラム実行形式のコンピューターで動作しています。コンピューターは

日本人はなぜ英語が苦手なのか カタカナ表記とSEO

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 先日、とある飲み会でスイスのジュネーブで開催された展示会「Telecom2003」のメンバーが3人いたため、当時の苦労話で盛り上がりました。 当時の写真が残っているので掲載します。やはり一番苦労したのは英語です。現地の大学生が説明員をやってくれますが、彼らに英語で説明しなくてはなりません。 スイスでは英語、フランス語、ドイツ語のトリプルリンガルが当たり前なので、なぜ英語が話せないのか不思議がられました。 日本人が英語の苦手な理由は、日本が単民族国家のため、まず話す必要がないからです。海外赴任や仕事で必要な場合以外は話しません。さらに理由の一つにカタカナ表記があると思います。 この風景はGeneve市街ですがGeneveは「ジュネーブ」とカタカナ表記されますが実際は「ジニーバ」と発音します。 Appleはカタカナで「アップル」ですが発音は「アポー」に近いと思います。Waterはカタカナで「ウォーター」ですがこの発音では絶対に伝わりません。発音は「ワラー」に近い。日本人は外来語を表記するためにカタカナを活用しましたが、大抵の国ではこのような書き換えができないため、WaterはWaterと表記します。このほうが外国語として認識できますが、カタカナだと日本語に同化されてしまいます。このため実際の発音とのギャップがあるために、相手に通じなくて話せなくなるのではないでしょうか。 私のブログでも、なるべく英語表記のほうがいいと思っていました。特に人名や企業名は英語表記にしていました。 現在、カナ漢字変換ソフトはGoogleを使用していますがGoogleカナ漢変換がいいとことはピーターと打つと候補に「Peter」を挙げてくれます。特にプログラムを書く場合は、変数名や関数名を英語表記するので便利です。 ところが、最近「chatGPT編集長」にブログのSEO(検索ランキングを上げる技)を意識した校正をお願いしたところ、英語表記をカタカナ表記しなさいと提案されました。確かに、日本人は英語で検索しないので、キーワードで考えるとカタカナ表記のほうが有利です。 さすが、OpenAI「chatGPT編集長」のSEO対策の指摘は的確です。現在、chatGPTのベースとなっている深層学習のLLM(大規模言語モデル)は、自然言語を扱うため言語の翻訳が非常に得意です。更にOpenAIはWhisperと