バルカンファイル(Vulkan Files)流出 犯罪国家ロシア#2
最近、一般的には報道されていませんが、サイバーセキュリティの関係者で話題になっているニュースがあります。それが「Vulkanファイル」流出事件です。
ロシアのサイバー攻撃については、ウクライナ戦争以前から2016年のアメリカ大統領選挙に介入しトランプを勝利させたことで有名ですが、IPアドレスのルーティング等からの推測であり完全な証拠があったわけではありません。今回の「Vulkanファイル」流出事件は、スノーデン事件と同様に内部告発型事件です。
スノーデンは、アメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の請負会社であるコンサルタント会社「ブーズ・アレン・ハミルトン」のシステム分析官として、アメリカ合衆国連邦政府による情報収集活動に関わった人物です。
2013年6月に複数のメディアに対して、NSAによる国際的監視網(PRISM)の実在を告発し、大事件となりました。その後、アメリカで逮捕されそうになった彼は、皮肉にもロシアに亡命します。
今回、ロシアから流出した文書「Vulkanファイル」はロシアのIT企業「NTC Vulkan」の社員からドイツのある記者へと共有されたファイルです。流出の動機について社員は「この会社は悪いことをしている、そしてロシア政府は卑怯で間違っている」さらに「私はウクライナ侵攻について怒っている、あそこでは酷いことが起きている」、「あなたがこの情報を使って閉ざされたドアの裏側で何が怒っているのかを知らしめてくれることを願っている」と語っているそうです。
その後このドイツ人記者はワシントン・ポスト紙などのニュースメディア数社からなるグループへ文書を共有し、その後「Vulkan ファイル」を入手したワシントン・ポスト紙は、各情報機関、サイバーセキュリティ専門家に裏取りをした後に、記事として公開しました。
文書には、ウクライナで報告された停電や韓国におけるオリンピックの妨害といった大規模なセキュリティ事件や、悪名高きマルウェア「NotPetya」の作成に関与したさまざまなロシアのハッキングツールについて書かれています。
また、NTC Vulkan と、「FSB(ロシア連邦保安庁)」「GRU(ロシア軍参謀本部情報総局)」「SRV(ロシア対外情報庁)」といったロシアの情報機関や軍事機関との関係を結びつける情報も示されています。リークされた文書には、米国のエネルギーインフラの地図も含まれています。ロシアが国家ぐるみでサイバー攻撃に関与してきたことが確認できる証拠になりうる文書だと思われます。
外から正式に侵入することが難しい重大な秘密でも、内部告発によりあっさりと流出させることが出来ます。
今まで、ロシアに情報戦で痛い目をみてきたアメリカが反撃を開始しました。
現在、アメリカのCIAはYouTubeでロシアのスパイをリクルートする動画を流しています。スパイになりたい人はdarkWebと呼ばれる秘匿性の高いWebから申し込みが出来ます。もちろん高額な報酬も保証されています。
近い将来、犯罪国家ロシアは内側から崩壊していくかもしれませんし、そう願います。
※イラストはBingImageCenterで生成(プロンプト:獰猛な熊,鍵,秘密,崩壊)
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