投稿

村上春樹ライブラリー 作家の本棚(頭の中)を見る

イメージ
他人の家の本棚って気になりませんか? その人がどんな本を読んでいたかで、趣味とか考え方がわかります。まして好きな作家の本棚って気になります。 私はハルキストではありませんが「風の歌を聴け」からリアルタイムに読んでいる初期(ノルウェイの森ぐらいまで)の村上春樹ファンです。以前から、一度行ってみたかった早稲田大学にある「村上春樹ライブラリー」に行ってきました。 ネットで早稲田大学国際文学館(通称:村上春樹ライブラリー)のサイトをアクセスし、行きたい日にちと時間帯を予約すると、確認メールが来ます。実際に行った時に受付でメールの予約番号を告げれば、入場できます。 滞在時間は1.5時間程度が想定されています。人数制限されているのでゆっくりと滞在できます。しかも料金は無料です。 早稲田大学は初めて来ましたが、一般の人でも入館できます。やはり大学のキャンパスは自由で、ゆったりした感じが良いですね。早稲田大学国際文学館は既存の建物をリノベーションしてますが、設計は隈研吾です。 中に入ると木材をふんだんに使用した図書館が現れます。さすが隈研吾です。 この図書館は村上春樹作品を―日本語・日本語以外のものをあわせて所蔵しています。刊行書でも初版本など貴重なものに加えて、村上氏からの寄託・寄贈を受けた本、さらに村上氏が蒐集したレコード・CDを中心に収集しています。村上春樹の書斎の別館のような場所です。 受付を入るとすぐに、テーブルと椅子がある、高級オーディオからJAZZが流れているリスニングルームがあります。 ビリー・ホリデーからビル・エバンストリオなどのレコードジャケットが飾られていて、村上春樹の小説の中に入っているような居心地の良い(Cozyな)空間が広がっていて心和みます。 カフェ「杓子猫」が併設されているので、コーヒーを飲みながら、彼から寄贈された気になる本が読めます。ショップもあり、グッツも購入できます。彼は、早稲田大学在学中に夫婦でJAZZ喫茶を開業していました。ここはそのJAZZ喫茶の再現かもしれません。 音楽関連の本は、Bob Dylan、Beatlesと並びますが「乃木坂48」関連の本が気になります。 マラソン好きな彼の「走り」に関する本棚です。気になったのはイギリスの「怒れる作家」ことアラン・シリトーの「長距離走者の孤独」です。私も好きな本でした。この本はイギリスのポッ

アンリ・マティス大回顧展 フォーヴィスムからポップアートへ

イメージ
マティスは鮮やかな色彩に惹かれる好きな画家の一人です。先日、東京都美術館で開催されているマティス展(Henri Matisse: The Path to Color)に行ってきました。展示期間は2023年4月27日(木)から8月20日(日)までで、一般の観覧料(税込)は2,200円ですが、私は65歳以上のため1,500円で入場することができました。 チケットはWebサイトから時間帯ごとに事前予約する必要があります。そのため、長時間並ぶ必要もなく、混雑も避けられて快適に鑑賞することができます。 150点の作品が展示されており、キュレーター(美術展の展示に関するディレクター)はポンピドゥー・センター/国立近代美術館近代コレクション チーフ・キュレーターのオレリー・ヴェルディエさんです。作品は年代順に整理され、彫刻も並行して展示されています。 「1.フォービズムに向かって」、「2.ラディカルな追求の時代」の初期から、有名な作品を生み出した中期「3.並行する探究」から「6.ニースからブァンスへ」を経て、晩年の「7.切り絵と最晩年の作品」、「8.ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」まで、マティスの生涯の軌跡を示す、圧倒的な数の作品が展示されています。 おすすめの鑑賞方法は、入口で配布される作品リストをもらった後、係員に鉛筆を借りて自分が気に入った絵画の番号にチェックを入れることです。同伴者がいる場合は後でお互いの好みを比較できますし、気に入った作品は後でネットで調べることができます。 展示の中で、今回初公開の「フォーヴィスム」前のマティス初期の傑作「豪奢、静寂、逸楽」があります。この作品は、印象派や新印象派の点描画の影響を受けています。マティスはこの作品から決別し、次のステップに進んでいきました。 晩年の1948-51年は、「ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」の壁画、ステンドグラス等の総合的なの美術作成に取り組みます。シンプルでどこかユーモラスな壁画は、既にポップアートへと昇華しています。壁画から連想されるのは、1980年代に活躍したストリートアートのキース・ヘリングです。彼はアメリカ人ですが、マティスからの影響を受けたかもしれません。 教会の壁画 キースヘリング 写真撮影が許されている絵画の中で、私の気に入った絵画を、番号及び名称と共に掲載します。 81.赤の大きな室内 80.黄色と青の室内

ジングルの話 「Rock TikiTiki」映像作成のベストプラクティス

イメージ
「ジングル」という言葉をご存知でしょうか? ジングルとはサウンドロゴとも呼ばれる、製品、ブランド、MV(Music Video)を印象づけるための短い音楽を言います。 私の趣味の一つは動画作成です。パナ時代の後輩のRock Band「Rock Tiki Tiki」の一部のMVを担当しています。今回の記事ではジングル作成の過程と、他のジングルの紹介をします。 2本のYouTubeは、「Rock Tiki Tiki」のMVの冒頭で流れるジングルのみの映像です。作成ではSlack(共同作業用チャット)とGoogleDriveを使って、すべてリモートで共同作業します。テレワークと同様ですね。最初に後輩のPL(プロジェクト・リーダー)より、Slackからジングル作成の依頼が来ます。この時にコンセプトが説明されます。次に音楽担当からGoogleDrive共有でサウンドのmp3ファイルがアップされます。 ここからが私の作業になります。音のない動画はMacの「Keynote」と呼ばれるプレゼンアプリで作成します。送られたサウンドの時間、サビに合わせて「Rock Tiki Tiki」のロゴのアクション・時間・エフェクトを決め動画mp4にエクスポートします。フォントやアクションの異なる3,4種類の動画を作成します。 次にFilmoraと呼ばれるWindows版の動画編集ソフトを使い音楽と動画を合成します。Filmoraは低価格で高機能の動画編集ソフトです、興味のある方は使ってみてください。 複数のジングルを作成し、GoogleDriveにアップして、Slackのチャットで議論し1つに絞り込みます。PLより修正点の指示が来て、修正、指示を繰り返し最終版を作成します。趣味とは言え業務と同じ流れです。これで完成です。 個人的に「ジングル」最高傑作はYMOの「増殖 - X∞ Multiplies」オープニングの「ジングル“Y.M.O.”」だと思います。声はDJ小林克也さんです。次の曲NICE AGEへのつながりは本当にカッコイイ。 そして、最も有名なジングルはMicrosoft Windows95の起動時の「ジングル」です。作者はアンビエント音楽、U2、Coldplayのプロデューサーとして有名なBrianEnoです。 当時のCEOビルゲイツからの依頼は「人を鼓舞し、世界中の人に愛され、明るく

街の焙煎コーヒー店とワイン店 「ネットを捨てよ、街へ出よう」

イメージ
 新緑の季節となり、天気の良い日に自転車で横浜の山下公園から中華街、関内を散策するのも気持ちが良いものです。横浜のみなとのエリアは歩くには意外と距離があるので、自転車でサクッと回るのがお勧めです。 今回は2つの個性的な小さな店を紹介します。いづれのお店も若い人が店主で、自分たちが扱っている商品について詳しく説明してくれるので、買い物も楽しいです。ネットショッピングも良いけどリアル店舗には色々な発見があります。 焙煎コーヒー店「Tsukikoya Specialty Coffee Roaster's shop」 ここは猥雑な中華街の外れにある、きれいなお店です。個性的なコーヒー豆を扱っていて、小さなカップで試飲ができるので、試してから豆を購入することもできます。また、ハンドドリップしてくれるので、テイクアウトして山下公園でコーヒーを飲むこともできます。 【店舗情報】 住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町106 シルクロード通り1F 朱雀門近く HP:http://tsukikoya.com/shop2/ 世界のワイン 葡萄屋 関内店 ここは関内の大通り公園側にある、世界中のワインを扱っているお店です。お店の人が気さくで、ワインのことを色々と教えてくれるので楽しいです。最近はウクライナのワインが人気があるとのことです。また、「コスパ棚」と呼ばれる千円台ワインのコーナもあります。私のお勧めは「キュヴェ・セクレテ シラー赤ワイン フランス Cuvee Secrete Syrah オーガニック」。 雑誌にも紹介された美味しい千円台ワインです。入荷はGW明けになるとのことなので、また来ます。 【店舗情報】 住所:〒231-0031 神奈川県横浜市中区万代町1丁目2-8 HP:https://www.wine-budouya.com/kannai/ 最近はネットで商品を購入することが多いですが、コーヒーやワインは種類が多いので、実際に商品を手に取り、お店の人と話しながら良いものを安く手に入れるのも買い物の楽しみです。街には新たな発見があります。 「ネットを捨てよ、街へ出よう」は寺山修司の書籍「書を捨てよ、街へ出よう」のオマージュです。

「遍在の日々」ブログタイトル変更します。 ブログの裏側

イメージ
ブログ を始めて20日になりますが、おかげさまで記事のページビューが1000を超えました。読者の皆様、ありがとうございます。 元々は以前のブログの読者に読んで頂きたいと思い、ブログを再開しました。友人、知人等にブログのURLを送って読んで下さいと連絡していましたが、少し欲が出てきました。そこで、不特定の人が検索エンジンからブログに流入を上げるためのSEO(Search Engine Optimization、読み方:エスイーオー)と呼ばれる施策の実験をしてみようと思います。これがブログの裏側です。 最初に、Web解析の定番であるGoogleが提供する解析ツール「Google Analytics 4」をブログに導入します。ブログは「Google Blogger」を使用しているため、Google同士のため簡単に接続できます。仕組みは、ブログがアクセスされる毎に「トラッキングコード」と呼ばれるプログラムが呼び出され、Googleの解析サーバーに必要な情報が送られます。この情報によりGoogleは多数のWebのアクセス状況を把握することができます。そのご褒美として、Googleは自分のWebの情報をレポートしてくれます。 次に、どのような検索キーワードからブログにたどり着くかを計測するツール「Google Search Console」を設定します。設定はサイトマップと呼ばれるデータをGoogleのサーバーに送信します。このようにGoogleはWebのあらゆるデータを収集し、収入源である広告費用の効果を向上させています。 解析してみると、オーガニックサーチと呼ばれる検索からの流入が無いことがわかりました。試しに私のブログタイトルの「つづれおりの日々」をGoogle検索すると、「日々つづれ織り」「つづれ織と暮らす日々」「つづれおり」「つづれ織り」「日々のつづれ織り」という多数のブログタイトルが表示されました。これではブログのタイトルからの検索流入は無理ですね。最初から調べれば良かった。 そこで、ブログタイトルを変えることにしました。chatGPTはあえて使用せずに自分の頭で考えた結果、TRON構想で有名な坂村建教授の提唱した「ユビキタスコンピューティング」(元祖IoT)の中に登場する「遍在」(何処にでもある)、という言葉を使用することにしました。新タイトルは「遍在の日々」、何

日本縮小#2 なぜ日本でイノベーションが起きないか? 農耕VS狩猟

イメージ
日本縮小#2。今回は、日米のIT関連分野に絞って、私の考えを述べてみたいと思います。 【原因1:気質】 日本は、島国で農耕民族であり、古代から天皇を中心とした歴史ある国です。昔からあまり危険を犯してまで冒険する必要もなく、安全・安心な暮らしを好みます。また、農耕民族の場合、集団で作業を行うため「和」を重んじます。いわゆる空気を読むことです。 一方、米国は欧米からの狩猟民族が移民してできた新しい国です。米国のITの中心地シリコンバレーのあるカリフォルニアは、約200年前からゴールドラッシュと呼ばれる金を求めるために一攫千金を狙う山師が世界中から集まった地域でもあります。「和」よりも個人主義が強く、空気を読まないことが多いです。 日本は、良くも悪くも成熟した人々の静かな国であり、一方の米国は山師たちが一攫千金を狙う活気ある国です。イノベーションはゴールドラッシュから生まれたのかもしれません。 この図は、2004年からGoogleで検索されたキーワードを可視化するサービスを使って、「技術革新」と「イノベーション」のキーワードを可視化したグラフです。このグラフには、それぞれのピークの要因と考えられるイベントを示します。 A.2006/9:イノベーション25戦略会議(内閣府) B.2013/1:イノベーションの創出(経団連)C.2021/6:総合イノベーション戦略(内閣府)D.2022/6:総合イノベーション戦略(内閣府) イノベーションに関心が向いたのは安倍内閣の頃からです。 一方、GAFAMのイノベーションの歴史を年代的に並べます。 2004年にFacebookが誕生し、2005年にはYouTubeが開始され、2006年にはAWS(クラウドコンピュータ)がスタートし、Twitterも同じ年に始まりました。さらに、2007年にはiPhoneが販売され、2009年にはWindows 7がリリースされました。 【原因2:米国の戦略】 日本がイノベーションを起こせなかった2つめ理由は、バブル時代まで遡ります。1980年代、日本の経済は急成長していましたが、米国は日本に追い抜かれることを恐れ、半導体業界を攻撃し始めました。1986年9月には「日米半導体協定」が締結され、その後、韓国や台湾が半導体技術の開発に乗り出し、そしてサムスンやTSMCといった企業が発展することになりました。 

追悼 恩師・田中正次先生 Back to Kyoto in 1980

イメージ
2022年8月16日、私の大学・大学院の恩師である田中正次先生がお亡くなりになりました。享年93歳でした。昨年、訃報を知らされましたが、今改めてご冥福をお祈りしたいと思います。 訃報の連絡をきっかけに、コロナ禍で再会が途絶えていた田中先生の研究室(通称:田中研)の同期の友人と交流が復活しました。そんな彼と横浜の野毛で昼飲みし、久しぶりの再会にお互いの近況や家族、chatGPT関連のAIの話題で盛り上がりました。ひとしきりして、彼がある論文と田中先生の追悼文が掲載された工業会の記事のコピーを手渡してくれました。 手渡された手書きの論文のコピーは1980年11月13-15日に京都大学数理解析研究所で開催された第10回「数値計算のアルゴリズムの研究」で田中先生が発表された「5次陽的Runge-Kutta法の特性の比較と最適化」でした。京都に行ったことは覚えていたけど、論文のことはすっかり忘れていたので、非常に嬉しかったです。 Runge-Kutta法とは、常微分方程式の数値解析法として有名な解法で、現在でも工業分野で広く使われています。田中先生はMr.Runge-Kuttaと呼ばれるほどの世界的にも有名な教授でした。当時、私が行っていたRunge-Kutta法のFORTRANプログラムで、ある程度の結果が出たため、学会で発表したと思います。 学会には、田中研のメンバーで車で京都に行きました。学会で発表後、田中先生が手配してくれた旅館で、田中先生、山下先生と学生で宴会をしました。学会は緊張したけど、本当に楽しい思い出です。  田中先生は、男性のみの田中研を気の毒に思ったのか、英和短大(女子の花園)との合ハイを自ら企画して頂いたこともありました。合ハイとは、合同ハイキングの略で、若い男性と女性がハイキング(これも死語)を通して、お互いに交流を深める楽しいイベントの事です。 先生のお陰で本当に知的で、楽しい大学生活を過ごすことができました。この頃の体験が「心の栄養」として、私の財産になっています。又同時代を共に過ごした友人も、私の財産です。Thank you Priceless。 論文は京都大学数理解析研究所のサーバーに今でもアーカイブされています。43年前の私と、田中先生の足跡(Foot Print)はこれからも残ります。 改めて、田中先生と、この論文を紹介してくれた友人にに

日本縮小#1 なぜ日本人の給料は上がらないのか? 「All You Need Is Innovation」

イメージ
先日、ビザスク主催の「AIの進展とイノベーション(Innovation Day 2022 基調講演)」をオンライン視聴しました。講師は、日本のAIの第一人者である東京大学の松尾豊教授でした。 なぜ日本人の給料がアメリカ等の先進国に比べて上がらないのか?その要因の一つはイノベーション(Innovation)にあると言われています。イノベーションは新しい創造・発明で、新たな市場や新たな経済を生み出す現在の錬金術です。 この図は、経済産業省がWebに掲載している「スタートアップ」についての資料です。日本の株価とアメリカの株価はTOPIXとS&P500で変わりはありません。GAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)の株価が、アメリカの経済を大きく牽引していることがわかります。私たちは普段iPhoneでGoogle検索して、Amazonで買い物し、仕事でWindowsを使っています。使用しているのはアメリカの製品やサービスであり、お金はアメリカに吸い上げられて行きます。 図は企業の収益を示す公式です。y(t)が企業の利益を示します。利益が増える要因は2つあります。1つは頑張って利率(r)つまり儲けを増やす方法。2つ目は、高速に物事を進めることで(t)を増やすこと。特にtは指数なので効果は大きいです。つまり、経営の速度を上げることが成長の鍵となります。 1つは「スタートアップ企業」、日本でも、アメリカでも、事業速度を上げることは大企業より「スタートアップ企業」の方は有利です。2つめが「IT技術」、(t)を高速に回すため「インターネット、ソフトウェア」を中心とした「IT技術」を活用します。例えばソフトの品質を長時間のテストではなく、頻繁なアップデートで担保することができます。「スタートアップ企業」のEVメーカーのテスラは、ディーラーを持たず、自動車の機能更新をすべてソフトウェアで自動更新することで(t)を高速に回す戦略をとっています。 経済の成長に必要なのは「スタートアップ企業」と「IT技術」です。なぜ、日本でイノベーション(Innovation)が起きないのでしょうか? シリーズ「日本縮小」続きは#2で。 ちなみに「日本縮小」は小松左京「日本沈没」、「All You Need Is Innovation」はBe

「海街diary」 私の好きな街、女優そして監督

イメージ
是枝裕和監督の映画「海街diary」は私が好きな日本映画のひとつです。 是枝監督が原作の漫画を映画化し、脚本も手掛け、鎌倉で1年以上をかけて撮影された、2015年公開の4姉妹の物語です。映画館で1度見た後も、Amazon Primeで何回か観ています。丁寧な日常の描写、淡々と流れる季節、心洗われるエピソード、愛する人の死、そして家族の再生のドラマは、心を打ち、観るたびに泣けます。 好きな街は鎌倉で、横浜からも近く、海に近く自然も豊かで、歴史的な建物もある観光地です。観光客も多いですが、少し外れたところには、おしゃれな古着屋、カフェ、美味しい飲食店も多く、落ち着いた雰囲気が好きです。住民の方も気さくで穏やかです。映画では鎌倉の古民家を舞台に、春の桜や夏の花火、鎌倉の美しい風景が描かれます。 好きな女優は長澤まさみで、現在の最強女優ではないかと思います。彼女の演技力は、「モテキ」「コンフィデンスマン」のはっちゃけた演技から、「エルビス」のシリアスな演技までの幅広さが相当なものです。この映画では、彼女は主役ではありませんが、樹木希林、大竹しのぶ、綾瀬はるか、夏帆、広瀬すずと錚々たる女優陣の中で、はすっぱな性格だけど悩みながら成長していく次女を演じました。 好きな監督は是枝裕和監督で、映画「歩いても歩いても」からのファンです。普通の家族の普通の日常を描き、その淡々とした日常が、何故か心ひかれます。「そして父になる」「海よりもまだ深く」あたりも好きな作品です。「海街diary」は、尊敬する小津安二郎へのオマージュでもあると思います。鎌倉は小津安二郎が住んでいた場所でもあり、樹木希林演ずる大船の叔母さんは、今はなき「松竹大船撮影所」のあった場所でもあります。 是枝裕和監督は新作の「怪物」も楽しみです。主演「安藤サクラ」音楽「坂本龍一」。奇しくも坂本龍一の遺作となる作品です。ちなみに「安藤サクラ」も好きな女優の一人です。 多少、観るのが怖い気もしますが.. 「海街diary」は安心して観ることができる映画ですから、GWにゆったりとTVでご覧になったらいかがでしょうか?

スワップの秘密

イメージ
今回は技術の話と昔の話です。 スマートフォンやパソコンは、CPU(Central Processing Unit)と呼ばれる小さなコンピューターで動作しています。CPUや周辺回路を入れたシリコンのカケラが半導体です。スマートフォン以外にも、炊飯器、時計、ミサイルなどあらゆる電気で動くものに入っています。半導体は不足したり、制裁で入ってこないと、色々なものが作れなくなる重要な部品です。CPUはメモリと呼ばれる別の半導体と共同で色々な仕事をします。CPUはメモリの上司です。 ここからがややこしい話、部下のメモリに対して、2つの系統の上司CPUが存在します。一つは図のようにリトルエンディアン(little endian)と呼ばれる素直でないメモリ格納方法の上司、代表的なのはインテルです。 もう一つはビッグエンディアン(big endian)と呼ばれる素直なメモリ格納方法の上司、代表的なのはモトローラーやIBMです。中にはどちらもできる上司CPUも存在します。 CPUを持つ装置間でメモリ上のデータ交換をすることを、コンピューター間通信と呼びます。代表的な通信方法がインターネット(Internet)です。 異なる上司CPUの装置が通信する場合、どちらかの方式に従う必要があります。インターネットにおいては、ビッグエンディアンという取り決め(Network Byte Order)が存在します。通信をするため、データの順番を入れ替えることをスワップ(swap)と呼びます。スワップは、一般的に入れ替える・交換するという意味ですが、技術者はこの入れ替えを「スワップする」と言います。 スマートフォンで写真を撮って、友人と共有することも、コンピューターの中では結構面倒くさいことが行われています。 私は以前、パナソニックである製品のソフトウェアを設計・開発するチームに所属していました。そこに、CPUや通信についてあまり知識のない新人が、チームに参加することになります。 職場では「そこスワップして」とか「だからスワップは大変」という会話が飛び交っていました。 ある時、新人くんが顔を赤らめて恥ずかしそうに小声で「スワップって恥ずかしいですよ」と私に言ってきました。どうやら「スワッピングパーティー的な」不道徳なパーティを想像したようです。確かに、普段は(swap)という言葉を使わないな。笑(これは

プーチンの首に鈴を付ける インターネット探偵 Bellingcat

イメージ
皆さんは「OSINT(オシント)」という言葉をご存知でしょうか?「OSINT(Open-Source Intelligence)」は「オープン・ソース・インテリジェンス」の略称で、誰でも入手可能なインターネット上に公開されている様々なオープンな情報を利用して、ネットニュース、Twitter、FacebookなどのSNSやYouTubeなどの動画、衛星画像、オンラインデータベースなどを調べ上げ、現場に行かなくても事象を分析することができる手法です。 これはオープンな情報を利用するため、国の情報機関でなくとも民間でも活動が可能なことから、「インターネット探偵」とも呼ばれます。OSINTで最も有名な組織が「Bellingcat」です。語源はイソップ童話の「誰が猫の首に鈴をつけるか」から来ています。 著書「We are Bellingcat」は、創始者のEliot Higgins が、 誕生の経緯から2014年のウクライナで起きたマレーシア航空17便撃墜事件の真相を暴き、2018年の元ロシア人二重スパイのセルゲイ・スクリパリ暗殺未遂事の関与した、ロシア工作員チームの身元を特定する過程を語った非常に興味深い本です。一読をお勧めします。 これらの事件を指示したのはロシアをスパイ組織で乗っ取った、今世紀最も残忍で狡猾な犯罪者プーチンです。 インターネット上では、毎日サイバー戦、情報戦、認知戦が仕掛けられ、それを防御し、嘘を暴く防衛戦が繰り広げられています。ロシアはサイバー攻撃を始め、偽情報、プロパガンダをばらまく情報戦を仕掛けてきます。更に、人々の感情を巧みに操作する高度な作戦として認知戦が展開されています。2016年のアメリカ大統領選挙におけるロシアのサイバー攻撃が有名ですが、もっと深刻なのが、トロールと呼ばれるSNSを利用したアメリカ世論の分断作戦です。ディープステイトのような滑稽なウソでも大量にバラ撒けば、一定数の人は信用します。 偽情報や認知戦は、人間の怒りや憎しみの情報は、伝達が速く、大勢に人に伝わりやすい仕組みを利用しています。情報は冷静に「自分の頭」で考えることが、インターネット上に生活する私たちの重要なスキルではないでしょうか。keep calm everything. イラストはCanvaAI(キーワード:SNS、嘘、拡散)で生成

テレワークで聞きべき音楽 グレン・グールド (Glenn Gould)

イメージ
音楽を聴きながらテレワークしている人も多いと思いますが、仕事に集中できる曲はありますね。私の場合は、グレン・グールド (Glenn Gould)のピアノ曲です。 私の仕事場でのオーディオ環境は、シリコンバレー発のスピーカー「SONOS-SL One」を使っています。「SL One」2台をステレオでペアリングして、iPhoneとAirPlayでWi-Fiでスピーカーに接続して、iTunes、Amazon Musicで好きな曲を聴いています。SONOSはWi-Fi接続により、Bluetoothよりデータ転送帯域が広いため、非常に音が良くて優れたスピーカーです。このスピーカーについては別途、詳細を記事にするつもりです。 テレワーク中に、最初はBrian Enoのアンビエントなどを流していましたが、やはりGlenn Gouldのピアノ曲が一番心落ち着き、仕事がはかどります。 天才であり変人であったGlenn Gouldは、1964年3月28日のシカゴを最後に演奏活動を止め、没年までレコード録音及びメディアのみで音楽活動を行っていました。 コンサート活動を止めてAbbey Road Studioで「Rubber Soul」を始めに名作アルバムを作り続けた、Beatlesのようでもあります。しかし、書籍「グレン・グールドは語る」のインタビューではBeatlesの音楽を「積み上げられたガラクタ」と酷評しています。 彼のピアノは、純粋でクリア、精細でしかも速い。シンセサイザーやビートもいいけれど、音楽の底の硬い芯(コア)が、Glenn Gouldのピアノかもしれません。私のお勧めプレイリストは以下の通りです。 バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」BWV 988 - 1981年版がお勧めです。 バッハ「イギリス組曲」 BWV 806-811 バッハ「フランス組曲」 BWV 812-817 バッハ「イタリア協奏曲」ヘ長調 BWV 971 chatGPTクラッシック音楽評論家がお勧めのプレイリスト(解説付き) バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」BWV 988 - グールドはこの曲を2回録音しており、世界的に有名です。 バッハ:「イタリア協奏曲」BWV 971 - グールドはこの曲を愛し、何度も録音しています。 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番イ短調Op.111 - 彼の演奏は、深い洞察力と、

横尾忠則 VS 画狂人・北斎

イメージ
横尾忠則さんは、イラストレーターの時期から、私の大好きな芸術家です。 YMO結成前の1978年の細野晴臣さんのソロ時代の傑作「はらいそ」のジャケットも横尾さんのデザインです。細野さんからYMOのメンバーになって欲しい要望があり、その気になって記者会見に出席する予定でしたが、仕事の都合で断念したエピソードがあります。 横尾さんは86歳ですが、精力的に活動をされていて、今回「横尾忠則 寒山百得」展が、9月12日~12月3日に東京国立博物館表慶館にて開催されます。本展は、横尾さん(1936年兵庫県生まれ)が「寒山拾得」を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」シリーズの完全新作101点を一挙初公開する、期待の展覧会です。 寒山(かんざん)と拾得(じっとく)とは、中国・唐の時代に生きた伝説上の詩僧のこと。その奇行ぶりから「風狂」ととらえられ、日本、中国では伝統的な画題となってきました。 個人的に横尾さんに近いと思う人物が、江戸時代の天才画家「葛飾北斎」です。代表作に「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」が有名ですが、実験好きの彼は、浮世絵と呼ばれる版画から、肉筆浮世絵、晩年には銅版画、ガラス絵も試みたとのことです。 これは、葛飾北斎、晩年の作品、信州小布施・上町祭屋台天井絵の「怒涛図」の一部です。浮世絵(現在のイラスト)から最後は肉筆画へ移行していきます。 何度も画家の名前「号」を変えたことも有名です。号はメインとサブがあって代表的なものが「卍」「画狂老人」です。 葛飾北斎は1849年享年90歳で亡くなったとされています。作品数は3万点に及ぶと言われています。 横尾さんにも北斎を超えてほしいです。美術展楽しみにしています。

モバイル自転車ナビゲーター Velo2

イメージ
自転車は私の好きなものの一つです。茅ヶ崎在住時はマウンテンバイク「GIANT」、福岡・東京南六郷在住時はシティーバイクの「Bianchi」と、フラットな土地では自転車は快適です。現在、横浜在住ですが、坂が多いので、電動アシスト自転車Panasonicのスポーツタイプ「Velo-Star」に乗っています。趣味なので買い物かごはNo-Thank you。 Velo 2 ナビゲーションシステム ビーライン(Beeline) VELO_2.0 半年ほど前に購入したものが、【クラウドファンディング | Kibidango(きびだんご)】で予約した自転車ナビ「Beeline Velo 2」です。クラウドファンディングの場合、低価格で自分の欲しいモノが購入できます。待っている時間も楽しい。 自転車は、最も死亡・怪我リスクの高い乗り物です。よく自転車にスマホをフォルダで固定してナビゲーター代わりに使っている人がいますが、非常に危険です。ヘルメットの着用は勿論のこと、専用のナビゲーターの使用を強くお勧めします。 VELO_2.0の使い方は、まず自転車に固定フォルダーをセットします。 どの自転車でも装着可能です。そこに本体をセットします。本体は自転車を駐車しても簡単に取り外せるので、盗難のリスクがありません。 スマホのアプリと連携して使用します。 目的地を入れると矢印で曲がる方向を指示してくれます。意 外な道を指示してくれるので、新しい発見があり楽しいです。当然ですが、ナビする必要がないところでは使う必要はありません。 現在、大都市・湘南や鎌倉のような観光地では「HELLO CYCLING」、「チャリチャリ」などの シェアサイクルが普及し、システムも使いやすくなりました。私もよく利用します。 私は電車で観光地に行き、シェアサイクルで周辺を移動しています(自動車は福岡時代に手放しました)。自動車と異なり、ゼロカーボンで渋滞や駐車場探しのストレスもありません。 そんな時にモバイル自転車ナビゲーターが活躍し ます。レンタルして自転車に取り付けて行きたい観光地までナビゲートしてもらう。SDGs的な新しい旅行のスタイルです。 自転車関連の曲のセットリスト QUEEN 「Bicycle Race」 KRAFTWERK「Tour De France 」 矢野顕子「自電車でおいで」 スピッツ「自転車」

追悼 アートディレクター 信藤三雄 日本のHipgnosis

イメージ
  アートディレクターの信藤三雄さんが、 2023年2月10日に胃がんのため亡くなりました。享年75歳でした。彼は松任谷由実、Mr.Children、サザンオールスターズ、SMAP、MISIAのCD/レコードジャケットを多くを手掛けた、音楽業界では有名なアートディレクターです。 私は高校時代から、レコードを聴き始めました。1970年代、レコードの値段は2200円から2500円と高額で、今のように視聴もできず、かつネットもないので音楽に関する情報が極端に少なかった。購入する際に重要決め手のなったのが、ジャケットのデザインでした。 これをジャケ買いと呼びます。 イギリスでは、Pink Floyd,Led Zeppelin等のレコードのジャケットを手掛けた Hipgnosisが有名です。 信藤三雄さん が注目されてたのは1980年後半から1990年代のPIZZICATO FIVEに代表される「渋谷系」のジャケットデザインでした。 ここからは多数ある「 PIZZICATO FIVE」のレコードジャケットを私の好きな順に並べて紹介します。 1.ピチカート・ファイヴ TYO 2.ベリッシマep 3.THE BAND OF 20TH CENTURY : Nippon Columbia Years 1992-2001(BOX)、4.THE BAND OF 20TH CENTURY : Nippon Columbia Years 1992-2001、5.女王陛下のピチカート・ファイヴep、6.カップルズep  レコードジャケットも立派なARTです。改めてご冥福をお祈りします。

U2 「Songs Of Surrender」 過去をBrushUPする

イメージ
 今や世界を代表するU2の最新アルバム「Songs Of Surrender」が素晴らしい。私の場合は、Amazon Music Unlimitedからダウンロードして頻繁に聴いています。過去の作品で40曲を選び、新たな解釈で再録音した最新アルバムです。こんな素晴らしいアルバムが低価格のサブスクで聴けるとはいい時代になりました。 私が社会人の頃、プロデューサーがBrian EnoだったことからU2の「The Joshua Tree」から聴き始めました。叙情的かつ、男性的な骨太でゴツゴツとしたサウンドは、ニューウェイブなどのカテゴライズに収まらないスケール感を感じました。 「Where the Streets Have No Name」「With or Without You」「Running to Stand Still」等の名曲揃いですが、一番好きな曲は、アメリカのゴスペルにインスパイアされた「I Still Haven't Found What I'm Looking for」です。後半のゴスペルが感動的です。 今回のアルバムにも「I Still Haven't Found What I'm Looking for」が収録されていますが、アコースティックで渋い大人のバラードにBrushUPされています。単なるベスト盤と異なり、過去の曲に向き合いその曲を、今の年齢、今の情勢、今のテクノロジーに合わせて再構築することは、作品を自らBrushUPする点において、現代的な試みだと思います。 作品のヒットを記念して、4月22日(土)21:00から22:20までYouTubeチャンネルにて特別番組がライブ配信されます。楽しみです。

The Dark Side of the chatGPT(chatGPTの裏側にケニア人)

イメージ
 賢くて善良に見えるchatGPTですが、その裏側には壮絶な人海戦術による作業がありました。タイトルは、Pink Floydの名盤、発売から50周年の「The Dark Side of the Moon」(邦題:狂気)からのオマージュです。 AI研究団体のOpenAIが、対話型AIの「ChatGPT」をより安全に使用できるようにするため、ケニアの労働者を時給2ドル(約260円)以下で雇い、データセットに使われる膨大な量のテキストから有害なコンテンツを、フィルタリングさせる作業を行わせていたと報じられています。ただしケニアでの時給2ドルは月給320ドル(約4万1000円)で、平均賃金より高いとのことです。 AIの中の深層学習(Deep Learning)はかっこいい響きがありますが、実態は教師付きデータと呼ばれる膨大なデータを、人間が振り分ける作業を地道に行う必要があります。この作業はアノテーション、若しくは、ラベリングと呼ばれています。 ChatGPTが人種差別的あるいは性差別的なテキストを生成しないようにしていますが、逆を言うと、問題のあるテキストを膨大に人が読んで、NGと判断する必要があります。これは大変だな。 これが、テキストだからまだ良いけど、画像生成系のAIの深層学習で、人種差別的あるいは性差別的な画像を生成させないためには、同じように問題のある画像を大量に見る必要があります。一部マニアの人にとっては、素敵な仕事かもしれませんが、、、AIの裏側は闇ですね。

追悼 鮎川誠 昔のブログを発掘する Episode#2

イメージ
 追悼 鮎川誠 Episode#2です。追悼ブログを書くために、Googlebloggerにアーカイブ(保存)している、過去の自分のブログを久しぶりに、発掘してみました。 ときは、2014年、今から9年前の出来事です。私も当時56歳の福岡時代です。 恥ずかしいですが、以下に当時のブログの記事の一部を掲載します。 引用開始------------------------------------ 2014/09/28 ミュージックシティー天神 鮎川誠、今年66歳ですが相変わらず腕をぐるぐる回しての演奏がカッコイイ。この人は久留米出身で九州大学の農学部を出ています。東大出身の小沢健二ことオザケンが出る前までは、国立大出身のインテリ・ロッカーとして有名でした。数曲演奏後、満を持してバンドの女王様、シーナの登場です。辺りは日が落ちて暗くなり一気にライブも盛り上がる。 シーナこと、鮎川 悦子は北九州出身で今年60歳、グリーンで銀ラメのミニスカートのドレスが様になる。恐ろしい。It's scary. ------------------引用終了 今読むと恥ずかしい9年前の私がいます。「この人は」「It's scary.」は失礼な言い方ですね。この一年後にシーナさんは子宮がんで亡くなります。 そして、今はもう二人には合うことはできない。人は亡くなっても音楽・記憶・記録は残ります。「芸術は長く、人生は短い」 改めてお二人のご冥福をお祈りします。