縮小日本#5 成長のない繁栄 Beyond GDP

 しばらく、あいだが空きましたが「シリーズ縮小日本#5」の最終回はこれからの日本はどうすべきか、私たちはどう行動すべきかについて述べます。

最近、話題になっているジェイソン・ヒッケル(Jason Hickel)著「資本主義の次に来る世界」を読みました。この本が今回のテーマのヒントになると思いますので、興味のある方は一読をお勧めします。

著者の「ジェイソン・ヒッケル」はアフリカのエスワティニ(旧スワジランド)出身の最近注目されている経済学者です。英国王立芸術家協会のフェローであり、現在は欧州グリーン・ニューディールの諮問委員を務め、「ランセット 賠償および再分配正義に関する委員会」のメンバーとしても活躍しています。

地球温暖化、環境問題の視点から、地球の資源、生命を破壊しながら歯止めなく成長し続ける資本主義の危険性を説き、「アミニズム」の観点から成長しない社会の提案をし、次に来るべき社会を示唆してくれる本です。

最近、ドイツの自然保護区では25年間で飛ぶ昆虫が75%が消滅しているとの衝撃的な調査結果が報告されています。昆虫の減少が広域で起きています。大企業による、大規模農業の影響により森林だけでなくミミズ、微生物を含む大量の生命が失われ、土壌の生態系が大規模に破壊されていることが明らかになってきました。海でも魚の大量な捕獲により生態系が大規模に破壊されていることが、報告されています。

資本主義は、無限に成長することを前提にしたメカニズムの経済であり、脱炭素を目指す電気自動車のイノベーションも、希少金属を大量に消費することで、地球環境を破壊しています。

解決策は、成長しないことにあります。GDP(国民総生産)は豊かさを表す指標として使われてきましたが、精神的な満足度を必ずしも表してはいません。現在注目されているGPI(Genuine Progress Indicator )は「人が経済的・社会的にどれほど順調であるか」を示す新しい指標です。

アメリカは資本主義を止めることは無いでしょうが、既に北欧、ブータン、コスタリカではGPIを指標にした脱資本主義「成長なき繁栄」の試みは始まっています。これらの国では医療・教育などの社会インフラの充実を政府主導で行い、シェアビジネスのような所有権から使用権へのパラダイムシフトを加速させています。

以前、日本の成長にイノベーションが欠かせないと言いましたが、この本を読んで考え方が変わりました。GDPと言う成長を目指さずに「成長のない繁栄」を目指すべきです。

そのために私たちは何をすべきか、不要な安物、高級ブランド、高額な時計を買うことなく、良書を読み、良い音楽を聴き、良い映画、演劇、絵画を観て、親しい人と旅行したり、美味しいワインを飲んだり、美味しい物を食べ、運動して、肉体的に健康で精神的に豊かに暮らすことにあります。

そして、荒馬のような資本主義企業ではない、これらサービスを適切な価格で提供する脱資本主義を目指す良心的な企業に対してお金を使うことで「成長のない繁栄」が訪れるのではないでしょうか。

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