「さよならは夜明けの夢に」 追悼岡田徹

私は、日本のロックバンド鈴木慶一率いる「ムーンライダーズ」のファンです。鈴木慶一は新一万円札の渋沢栄一に似ていると一部のファンの間では有名ですが、「ムーンライダーズ」は大ヒット曲があるわけでも無いため知らない人も多いと思います。

メンバーは音楽プロデューサーだったり、CMソング、映画音楽と様々なジャンルで音楽と関わっているため「ミュージシャンズミュージシャン」と言われる専門家からは高く評価される「ミュージシャン集団」です。

学生時代にアルバム「ヌーベルバーク」当たりから聴き始めて、以降はリアルタイムでレコード、CDを聴いたり、ライブにも行きました。ムーンライダーズは時代に対する感度が高く、テクノ、パンク、ニューウェーブをいち早く取り入れたりしましたが、YMOほどメジャーにはなれなかったマニア向けバンドです。

今回、2021年6月12日にEX THEATER ROPPONGIで開催したムーンライダーズ結成45周年を記念したライブ「THE SUPER MOON」がDVDで発売されたので早速購入して聴きました。

ムーンライダーズは全員70歳代の高齢者バンドであり、ドラマーのかしぶち哲朗は2013年に63歳の若さで亡くなっており、2023年2月14日にキーボードの岡田徹も心不全のため73歳で亡くなりました。彼の仕事は多彩であり、プリンセス・プリンセスのプロデューサーやドコモのCMソングも手掛けていました。

今回のDVDでは、長期入院から退院したばかりの岡田徹が最後車椅子で登場し、彼の代表作である「さよならは夜明けの夢に」を涙ながらにキーボードを演奏するシーンも収録されており、本当に感動的なステージでした。思わず私も泣きました。

「さよならは夜明けの夢に」は1977年の作品でビートルズの「She's Leaving Home」のオマージュソングであることは有名ですが、当時では珍しかった東欧地方を思わせる歌詞とメロディーが新鮮で、改めて楽曲の良さに感動します。

ムーンライダーズは高齢者ですが、後半から彼らをリスペクトする若い6名のゲストミュージシャンが参加し、サウンドに勢いと厚みが加わり圧倒的なステージとなります。彼らによってムーンライダーズのDNAは確実に引き継がれて行くでしょう。

物は壊れる、人は死ぬ そういう訳さママン」とアルバム「青空八景」の歌詞にもあるように、メンバーは年を取り、やがて亡くなります。しかし作品とその精神は多くの人たちに引き継がれていきます。

改めて岡田徹氏のご冥福をお祈りします。

 



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