「空気」に忖度しない ジャニーズ関連の山下達郎発言に思う

 現在、連日のようにジャニーズ性加害問題関連の報道がなされ、この問題に巻き込まれたかたちで山下達郎のラジオでの発言が話題となっています。

ジャニーズ事務所に関する個人的な思い出があります。パナソニック時代に、2000年代開始されたデジタル放送でデータ通信の内容を印刷できるホームプリンタKX-PG2の開発に関わったことがあります。

当初テレビの画面をスクリーンショットして印刷する機能を入れる予定でしたが、関係者の話ではジャニーズ事務所からの猛反対にあって、この機能はボツとなりました。録画は個人使用で許されるのですから、納得いきませんでしたが、長いものにまかれてしまいました。それが原因かわかりませんがホームプリンタは見事に売れませんでした。

個人的には、ジャニーズ事務所の高圧的な態度を実感し、今でもジャニーズ事務所には不信感を持っています。

一方、山下達郎はシュガー・ベイブ時代からのファンであり、現在アナログ盤で再発売されている一連の作品は大学時代によく聞きました。特に「MOONGLOW」はジャケットも良いしオープニングのコーラスのかっこよさは今聴いても感動します。又、サンソンこと山下達郎の「サンデー・ソング・ブック」はRadikoの普及とともに、今では日曜の夜にお風呂に入りながら聴くことが日課となっています。

今回の、音楽プロデューサー・松尾潔さんの契約終了問題について7月10日の「サンソン」で山下達郎自身の言葉で説明を行いました。彼の説明は率直であり、音楽に関わるものとして、事件とは別に作品へのリスペクトは尊重されるべきであるという真っ直ぐな正論でした。

その中の発言の又一部の切り取られ波紋を呼んでいます。正確を期すため発言の一部を掲載します。

”彼らの才能を引き出し、良い楽曲を共に作ることこそが、私の本分だと思ってやってまいりました。この様な私の姿勢をですね「忖度」あるいは「長いものに巻かれている」と、その様に解釈されるのであれば、それでもかまいません。きっとそういう方々には、私の音楽は不要でしょう。”

これに対して、「偉そうだ」とか「作品を人質に取った」とかネット上では様々な意見が出ています。そもそもこの発言は、興味本位や記事にするために山下達郎の「サンソン」を普段聴いていないリスナーに対しての発言です。昔のミュージシャンなら「いやなら聴くな、バカヤロー!」ぐらいのことは平気で言っていましたから、そのに比べたら非常に抑制された発言でしょう。

一連の騒動で感じるのは、事件で掌返しするテレビ局やマスコミのだらしなさと、昔に比べて「不寛容」になりつつあり時代の「空気」を作り出すSNSとネットニュースの怖さです。

私は、ジャニーズ事務所は嫌いですが、山下達郎の発言は支持します。不寛容な「空気」はタブーを生み出します。

「タブーの多い社会ほど未開である」と筒井康隆が言ったように、今やSNS、ネットによって時代が逆行しているのではないでしょうか。




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