映画「怪物」 故坂本龍一にささぐ
最近、映画「怪物」を観ました。監督は「海街diary」の是枝裕和、脚本は「カルテット」などのテレビドラマの脚本家・坂元裕二、そして音楽は坂本龍一です。
「第76回カンヌ国際映画祭」で日本映画では初となる脚本賞「クィア・パルム賞」を受賞し、大きな話題を集めています。また、本作は坂本龍一のサウンドトラックの遺作となりました。
本作は、大きな湖のある郊外の地方都市での子ども同士のいじめにまつわる物語です。長野県諏訪湖をロケ地とし、朝モヤの湖の美しいシーンが劇中の心象のメタファーとして使われているところが、是枝作品らしい映像美を感じます。
いじめの経緯をそれぞれの登場人物の視点で、何度も同じ時間軸を繰り返し描くことで物語の真実が明らかになっていく構造は、芥川龍之介「藪の中」を原作とする黒澤明監督の「羅生門」のオマージュでもあります。
ストーリーはネタバレになるため詳しくは書きませんが、安藤サクラと瑛太の演技もうまいのですが、是枝監督らしく主人公の少年2人の演技が自然で素晴らしいです。
そして何より、坂本龍一の音楽が素晴らしい。是枝監督が依頼の手紙を坂本龍一に出したところ、本人から「体力的に全曲の書き下ろしはできないので、何曲かイメージしているものを形にしますから聞いてください」と返事が来て、その後2曲の描き下ろしの新曲と「すでに私が発表している楽曲から自由に使って頂いて構いません」と返事が来たそうです。是枝監督は、既存の坂本龍一の曲と新曲を自ら構成を考えて、サウンドトラックを作成しました。
映画のエンディングの重要なメッセージであるシーンは、切なくも希望を象徴するように「Aqua」が流れます。「Aqua」は坂本自身の娘である坂本美雨のために書かれた曲であり、この映画の重要なテーマでもあります。
カンヌ映画祭では、この音楽が終わるとともにスクリーンに「坂本龍一にささぐ」とクレジットが出ると、ひときは大きな拍手が起きたとの事です。
映画「怪物」は是枝監督が作った坂本龍一の好きな曲のPlaylistでもあったと思います。故坂本龍一にささぐ。
「怪物」Playlist(サウンドトラック)
- アルバム「12」20220207
- オリジナル Monster 1
- アルバム「out of noise」 hwit
- オリジナル Monster 2
- アルバム「12」 20220302
- アルバム「playing the piano usa 2010 / korea 2011」 hibari
- アルバム「BTTB」Aqua
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